親の介護は何から始める?要介護認定の申請からサービス利用までの流れ

娘が母と要介護認定の申請書類を一緒に確認しているイラスト

親の変化に気づいても、介護が必要かを家族だけで判断するのは難しいものです。まず親の住所を担当する地域包括支援センターへ観察した変化を伝え、要介護認定の申請からケアプラン、サービス開始までの段取りを一緒に整理します。

目次
  1. 最初の相談先は地域包括支援センター
  2. 要介護認定の申請からサービス利用までの全体像
  3. 申請前にそろえる情報と家族ができること
  4. 訪問調査から認定審査までに確認されること
  5. 認定結果後の分かれ道とケアプラン
  6. 期間と費用の目安
  7. 相談前チェックリストと迷ったときの対応

状況を整理する

この記事でわかること

  • 地域包括支援センターへ最初に伝えること
  • 要介護認定の申請から結果通知までの流れ
  • 認定結果ごとのケアプラン作成先
  • 利用開始までの期間と費用の目安

最初の相談先は地域包括支援センター

「要介護に当てはまるか分からない」という段階でも、親の住所を担当する地域包括支援センターへ相談できます。厚生労働省は、同センターを高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防の援助などを担う機関と案内しています。家族が病名や要介護度を予想してから連絡する必要はありません

  1. 観察した変化をメモする
    転んだ日時、食事や服薬で難しくなったこと、同じ連絡が増えた時期など、見聞きした事実を書きます。
  2. 親の住所を担当する窓口を探す
    「市区町村名 地域包括支援センター」で自治体公式サイトを探すか、厚生労働省ページの都道府県別一覧から確認します。
  3. 家族から電話する
    親の年齢・住所、本人との関係、生活上の変化、入退院などの期限、本人が困っていることを伝えます。
  4. 次の面談と申請方法を決める
    本人を交えた面談、家庭訪問、要介護認定の申請、認定を待たずに使える地域支援のどれを確認するか整理します。

センターの名称、担当区域、受付時間は地域で異なります。電話では「親は○○町に住んでいます。ここが担当ですか」と最初に確かめます。急ぐ期限があるときは、退院日や家族が滞在できる日を具体的に伝えます

要介護認定の申請からサービス利用までの全体像

介護保険サービスは、相談しただけで自動的に始まるわけではありません。厚生労働省の要介護認定制度の概要と自治体案内をまとめると、在宅サービスを始めるまでの基本的な順番は次のとおりです。

  1. 地域包括支援センターや市区町村へ相談する
    生活上の困りごとを整理し、要介護認定を申請するか確認します。
  2. 市区町村へ要介護認定を申請する
    本人・家族が申請するほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに手続きの支援を依頼できる場合があります。
  3. 認定調査と主治医意見書の作成が進む
    調査員が本人へ聞き取りを行い、市区町村が主治医へ意見書を依頼します。
  4. 一次判定と二次判定を受ける
    認定調査と主治医意見書をもとに一次判定を行い、介護認定審査会が審査・判定します。
  5. 認定結果を確認する
    要支援1・2、要介護1〜5、非該当の区分と認定の有効期間を確認します。
  6. ケアプランを作りサービス事業者と契約する
    本人の希望と生活課題をもとにサービスの種類・回数を組み立て、説明を受けて利用を始めます。
要介護認定の相談と申請からケアプラン作成、サービス利用開始までの6つの手順を示す図解
要介護認定からサービス利用まで手順1〜6を家族と支援者が進める場面。各コマの見出しは上の手順に対応します。

申請から利用開始までは「認定」と「ケアプラン・契約」の二段階です。申請中に退院日が迫るなど待ちにくい事情がある場合は、最初の相談時にその期限も伝えます。

申請前にそろえる情報と家族ができること

横浜市の介護保険案内では、申請書、介護保険証、かかりつけ医療機関・医師名が分かるものなどを案内しています。40〜64歳の第2号被保険者には、医療保険の資格情報も案内されています。必要書類、本人確認、マイナンバーの扱い、郵送・電子申請の可否は自治体ごとに確認します。

整理するもの 確認する内容 家族ができる準備
本人情報 氏名、住所、生年月日、連絡先 申請書と介護保険証の表記を照合する
介護保険証など 65歳以上は介護保険被保険者証、40〜64歳は医療保険の資格情報など 自治体窓口へ必要書類を先に尋ねる
医療情報 医療機関名、主治医名、最近の受診、入院・退院予定 診察券やお薬手帳から名称を控える
生活の変化 移動、食事、排せつ、入浴、服薬、買い物、金銭管理など いつから、どのくらいの頻度かを具体的に書く
連絡体制 本人への連絡方法、調査に同席する人、家族の連絡先 本人に共有する範囲と同席者を相談する

京都市では、本人・家族による申請のほか、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業者などへの申請代行依頼を案内しています。家族は書類を運ぶだけでなく、本人が普段どこで困り、どの支援を望んでいるかを申請先へつなぐ役割を担えます。

訪問調査から認定審査までに確認されること

認定調査では、調査員が自宅などを訪問し、心身の状態や生活の様子を本人・家族から聞き取ります。家族が同席するときは本人の同意を確認し、できる日だけでなく、日によって変わることや介助が必要な場面も伝えます。「できる・できない」の一語ではなく、頻度、見守り、声かけ、介助の内容を具体化します

  • 移動・動作: 起き上がり、立ち上がり、歩行、移乗で支えが要るか
  • 身の回り: 食事、排せつ、入浴、着替え、口腔清潔をどこまで行えるか
  • 認知・行動: 意思の伝達、記憶、服薬、金銭管理、外出で困る場面があるか
  • 家族の介助: 誰が、何を、どの頻度で手伝っているか
  • 医療の状況: 通院、入院、治療、医療処置、心身状態の変化
訪問調査で確認される移動と動作、身の回り、認知と行動、家族の介助、医療の状況を示す図解
訪問調査の確認項目本人の生活場面を、5つの確認項目に分けて示しています。

主治医意見書は、申請書に記載した主治医へ市区町村が作成を依頼します。主治医がいない場合は、申請前に市区町村の窓口へ進め方を尋ねます。その後、認定調査と主治医意見書をもとに一次判定が行われ、保健・医療・福祉の関係者で構成される介護認定審査会が二次判定を行います。

調査は病名を決める診察ではありません。体調や物忘れなど医療上の不安は、かかりつけ医や医療機関へ別に相談します。救急車が必要な緊急時は認定手続きを待たず119番へ通報します。通報時に聞かれる内容は消防庁の119番緊急通報案内で確認できます。

認定結果後の分かれ道とケアプラン

認定結果が届いたら、区分、有効期間、負担割合証の有無を確認します。在宅での相談先は認定区分で分かれます。京都市の案内では、要支援1・2は地域包括支援センターまたは指定を受けた居宅介護支援事業所、要介護1〜5は居宅介護支援事業所へケアプラン作成を相談する流れです。

認定結果 在宅での主な相談先 次に確認すること
要支援1・2 地域包括支援センター、指定を受けた居宅介護支援事業所 介護予防ケアプランの作成と利用するサービス
要介護1〜5 居宅介護支援事業所のケアマネジャー 居宅サービス計画の作成とサービス事業者
非該当 地域包括支援センター、市区町村の高齢者相談窓口 基本チェックリスト、介護予防・生活支援など地域で使える制度
要支援1・2、要介護1から5、非該当の認定結果ごとに在宅での主な相談先を示す判断フロー
認定結果後の相談先要支援1・2、要介護1〜5、非該当の順に、在宅での主な相談先を確認する流れ。

ケアプランでは、「入浴を手伝ってほしい」だけでなく、「自宅で安全に入浴を続けたい」「週1回は外出したい」など本人の暮らしの目標を起点にします。ケアマネジャーへ、本人の希望、家族が担える範囲、利用したい曜日、予算、避けたいことを伝えます。提示された計画とサービス事業者の重要事項説明を確認し、契約後に利用開始となります。

施設入所を希望する場合は、施設ごとに対象となる要介護度、申込方法、待機状況、費用が異なります。在宅のケアプラン作成と施設への入所申込みは流れが異なるため、地域包括支援センターまたは市区町村へ分けて相談します。

期間と費用の目安

申請から結果通知までは、法令に基づく自治体案内では原則30日以内です。一方、船橋市は通常1か月から1か月半程度と案内しています。認定調査の日程、主治医意見書、審査会の予定などで延びることがあるため、家族の予定は30日から1か月半程度の幅で置き、遅延通知が届いたら見込日を市区町村へ確認します

段階 期間・費用の目安 確認点
地域包括支援センターへの相談 京都市の例では相談無料 受付時間、担当区域、訪問相談の可否は地域で異なる
申請から認定結果 原則30日以内。自治体案内の一例では通常1か月〜1か月半程度 調査・主治医意見書・審査の進み方で前後する
ケアプランから利用開始 面談、事業者調整、契約の日程で変動 退院日など期限を早めに伝える
介護保険サービス サービス費の1〜3割 負担割合証、支給限度額、サービスごとの利用料を確認する
保険給付外の費用 食費、部屋代、日常生活費など サービス内容や契約、所得に応じた軽減制度で異なる

横浜市は、介護保険サービスの利用者負担を原則1割、一定以上の所得がある場合は2割または3割と案内しています。食費・部屋代などが別にかかるサービスもあります。全国一律の総額ではないため、ケアプラン案ができたら、月の利用回数、1回の自己負担、保険給付外の費用を分けて確認します

認定前にサービスが必要な場合、暫定的なケアプランで利用できることがあります。ただし、京都市の案内では、非該当になった場合や認定区分の支給限度額を超えた分は全額自己負担となる旨が示されています。利用前に市区町村とケアマネジャーへ費用リスクを確かめます。

相談前チェックリストと迷ったときの対応

最初の電話ですべてを説明しきる必要はありません。次のうち分かる項目だけを手元に置き、分からないことは「確認できていない」と伝えます。

  • 親の氏名、年齢、住所、電話番号
  • 介護保険証の有無と保管場所
  • 最近困った出来事と起きた日時
  • 食事、移動、排せつ、入浴、服薬、買い物の変化
  • 通院先、主治医名、入院・退院予定
  • 親が希望していること、嫌がっていること
  • 家族が手伝える曜日・範囲と連絡先
  • 退院、家族の帰省、仕事の都合などの期限

親が相談を嫌がるときは、本人の了承がないまま申請や契約を進めるのではなく、家族だけで地域包括支援センターへ状況を伝え、関わり方を相談します。本人の意向と、家族が観察した安全上の心配を分けて話すと整理しやすくなります。

介護保険の対象になるか迷う段階では地域包括支援センター、申請の進捗や認定結果は市区町村の介護保険担当、体調や治療は医療機関へ相談します。窓口を一つに決めきれないときは、地域包括支援センターに「次にどこへつなぐか」から尋ねます

よくある疑問

よくある質問

親本人が相談を嫌がる場合、家族だけで地域包括支援センターへ相談できますか?

家族から、高齢の親について気になる変化や生活上の困りごとを相談できます。本人の同意が必要になる支援や申請もあるため、まず家族が観察した事実と本人の意向を分けて伝え、次の関わり方を確認してください。

親にかかりつけ医がいなくても要介護認定を申請できますか?

主治医がいない場合の扱いは市区町村の申請窓口へ確認します。自治体から受診先や意見書作成の進め方を案内されることがあるため、家族だけで医師を決めず、申請前に相談してください。

認定結果が出る前に介護サービスを使えますか?

自治体へ相談し、暫定的なケアプランで利用できる場合があります。ただし、非該当になった場合や認定区分の支給限度額を超えた分は全額自己負担となる可能性があるため、利用前に費用負担と中止・変更条件を確認してください。

次の一歩

この記事の次にすること

公的な相談先と契約条件を確認したうえで、いま必要な支援に合うかを確かめてください。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 厚生労働省「介護保険制度の概要」(2026年7月24日確認)
  2. 厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」(2026年7月24日確認)
  3. 厚生労働省「地域包括ケアシステム」(2026年7月24日確認)
  4. 京都市「介護サービスの利用手続」(2026年7月24日確認)
  5. 横浜市「介護保険」(2026年7月24日確認)
  6. 船橋市「介護サービス利用の予定がなくても要介護認定を受けていた方がよいですか。」(2026年7月24日確認)
  7. 京都市「介護保険で要介護認定決定前にサービスを利用できますか。」(2026年7月24日確認)
  8. 総務省消防庁「119番緊急通報」(2026年7月24日確認)