介護施設はどの種類を選ぶ?要介護度・医療・費用で候補を絞る方法

介護施設の資料を見比べる中年の娘と高齢の母を、深緑の線画で穏やかに描いたイラスト

在宅介護を続けるのが難しくなっても、施設名が多いと親に合う場所をどう探すか迷いますよね。まず要介護度と認知症の条件で対象外を除き、長期療養・在宅復帰・生活の場のどれを求めるかを決め、初期費用と月額総額を同じ条件で比べると候補を絞れます。

目次
  1. 結論 要介護度・医療・予算の順に候補を絞る
  2. 7種類の違いから候補を3つに絞る
  3. 要介護度と認知症の条件で外す施設を決める
  4. 医療と退院後の目的で生活の場を選ぶ
  5. 初期費用と月額費用を同じ条件で比べる
  6. 特養の待機中も暮らしをつなぐ
  7. 負担軽減制度を申請できるか確認する
  8. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 公的施設と民間施設7種類の役割の違い
  • 要介護度・認知症・医療による入居条件
  • 入居一時金と月額費用、介護サービス費の仕組み
  • 特養の申込みと費用負担を軽くする制度

結論 要介護度・医療・予算の順に候補を絞る

最初から施設名を一つに決める必要はありません。対象外の施設を条件で除き、残った2〜3種類を見学候補にします。施設探しは、要介護度、医療、認知症、費用の順で整理します

  1. 介護保険証と負担割合証を確認する
    要支援・要介護の区分、認定有効期間、1〜3割の負担割合を控えます。認定前や状態が変わった場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談します。
  2. 必要な医療を具体的に書き出す
    経管栄養、インスリン、たん吸引、酸素、透析、褥瘡、夜間の処置、通院、看取りの希望を主治医や訪問看護師に確認します。
  3. 入居条件で候補を除く
    特養の原則要介護3以上、グループホームの認知症と住所地、老健・介護医療院の要介護など、制度上の条件を当てます。
  4. 施設に求める役割を決める
    長く暮らす生活の場、退院後のリハビリ、長期療養と医療、認知症の少人数ケアのどれを優先するかを家族で共有します。
  5. 初期費用と月額総額の上限を分ける
    親の年金・預貯金、家族が補える月額、医療費や日用品費を含め、何年支払えるかを試算します。
  6. 2〜3種類を並行して見学・申込みする
    空室だけで決めず、医療対応、追加費用、退居条件を同じ質問表で確認します。特養を待つ間の生活もケアマネジャーと組みます。

7種類の違いから候補を3つに絞る

「公的」「民間」は、サービスの質の上下を表す言葉ではありません。ここでは、介護保険法上の施設サービスとして位置づけられる3施設を公的施設、事業者と入居契約を結ぶ住まいを民間施設として整理します。

種類 主な対象・役割 費用と介護サービスの仕組み
公的:特別養護老人ホーム(特養) 原則要介護3〜5で、常時介護が必要かつ在宅生活が難しい人の生活の場 一般に入居一時金はなく、施設サービス費の自己負担、居住費、食費、日常生活費を払う
公的:介護老人保健施設(老健) 病状が安定した要介護1〜5の人が、リハビリ等で在宅復帰を目指す 一般に入居一時金はなく、施設サービス費の自己負担、居住費、食費、日常生活費を払う
公的:介護医療院 長期療養のための医療と日常生活上の介護が必要な要介護1〜5の人 一般に入居一時金はなく、施設サービス費の自己負担、居住費、食費、日常生活費を払う
民間:介護付き有料老人ホーム 自立から要介護まで施設ごとの入居条件に合う人。施設職員による包括的な介護を受ける 前払い方式・月払い方式等があり、月額利用料とは別に特定施設入居者生活介護の自己負担がある
民間:住宅型有料老人ホーム 自立から要介護まで施設ごとの条件に合う人。生活支援のある住まい 家賃・管理費・食費等に加え、必要な訪問介護等を外部事業所と個別契約し自己負担する
民間:サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 原則60歳以上など登録基準に合う人の賃貸住宅。安否確認と生活相談を受ける 敷金、家賃、共益費、生活支援費等を払い、介護は外部契約が基本。特定施設指定の有無で異なる
民間:認知症グループホーム 認知症があり、原則要支援2または要介護1〜5で共同生活ができる人 家賃、食材料費、光熱水費等と認知症対応型共同生活介護の自己負担を払う

民間の3つの住まいでは、名称だけで介護の量を判断できません。介護サービス情報公表システムによると、介護付き有料老人ホームは事業者が包括的な介護保険サービスを提供します。住宅型は入居者が必要に応じて外部の訪問介護等と契約します。サ高住は高齢者向けの賃貸住宅であり、安否確認・生活相談以外の食事、介護、医療連携は物件ごとに確認が必要です。

「老人ホーム」という呼び方ではなく、介護保険サービスを誰と、どの契約で使うかを確認します。パンフレットで「介護対応」と書かれていても、介護付きか住宅型か、サ高住が特定施設の指定を受けているかで費用の計算方法が変わります。

要介護度と認知症の条件で外す施設を決める

次に、親が制度上の対象に入るかを確認します。入居可能な要介護度は、施設の空室状況とは別の条件です。

親の状態 候補になりやすい種類 先に確認する条件
自立・要支援1 有料老人ホーム、サ高住 施設独自の年齢・自立度、要介護になった後の介護契約、退居条件
要支援2で認知症 グループホーム、有料老人ホーム、サ高住 診断書、住所地、共同生活、医療対応
要介護1〜2 老健、介護医療院、有料老人ホーム、サ高住、グループホーム 老健は在宅復帰、医療院は長期療養、特養は特例入所の事情
要介護3〜5 特養、老健、介護医療院、有料老人ホーム、サ高住、グループホーム 必要な医療、認知症、待機、施設ごとの受入上限

特養は原則要介護3以上

厚生労働省の特養入所に関する指針では、入所判定の対象は要介護3〜5とされています。要介護1・2でも、認知症で意思疎通が難しい、虐待が疑われ安全を保てない、単身や家族の病気で支援を期待できないなど、居宅生活が著しく難しい事情があれば特例入所を検討します。

グループホームは診断と住所地を確認する

指定地域密着型サービス基準第94条は、認知症である要介護者のうち、少人数での共同生活に支障がない人を対象とし、入居時に主治医の診断書等で認知症を確認すると定めています。介護予防のグループホームは要支援2が対象で、要支援1は利用できません。

グループホームは地域密着型サービスです。原則として事業所がある市区町村の被保険者が利用します。横浜市の地域密着型サービスの案内も、原則として指定をした市町村の被保険者のみが利用できると説明しています。親を子の住所へ移してすぐ申し込めるとは限らないため、転居前に保険者と施設へ確認します。自治体によって一定期間の居住要件や例外の扱いが異なります。

医療と退院後の目的で生活の場を選ぶ

要介護度が同じでも、必要な医療と入居目的で候補は変わります。病名だけでなく、毎日・夜間に誰が何をする必要があるかを施設へ伝えます。

優先すること 第一候補として確認する種類 見学前に聞くこと
長く暮らし、日常生活の介護を受ける 特養、介護付き有料老人ホーム 看護職員の配置時間、通院同行、看取り、状態悪化時の退居条件
退院後にリハビリを行い在宅へ戻る 老健 入所目的、リハビリ頻度、退所判定、家屋調査、退所後支援
長期療養の医療と介護を受ける 介護医療院 必要な処置の受入、医師・看護体制、看取り、療養室
認知症の人が少人数で暮らす グループホーム 診断、住所地、行動症状への対応、医療連携、重度化・看取り
住まいと必要分の外部介護を組み合わせる 住宅型有料老人ホーム、サ高住 訪問介護・看護の選択、夜間対応、限度額超過、外部事業所の変更可否

老健は「特養が空くまで住み続ける場所」とは限りません。介護サービス情報公表システムは、病状が安定期にあり、看護、医学的管理下の介護、機能訓練などを必要とする要介護者が対象と説明しています。入所時から、退所判定の時期と、自宅・別施設など退所後の候補を確認します。

介護医療院は、長期療養に必要な医療と生活上の介護を一体的に提供する施設です。急性期治療が必要な場合は医療機関が優先されます。

主治医に、施設で続ける処置、急変時の想定、通院、看取りの希望を確認します。医療対応表の丸印だけで決めず、親の処置を誰が何時に行えるかを確認します

初期費用と月額費用を同じ条件で比べる

施設費用は、パンフレットの「月額」だけでは比べられません。入居時、毎月固定、介護量で変動、実費の4つに分けます。

費用項目 含まれるもの 金額が変わる条件
入居時費用 入居一時金・前払金、敷金、保証金、当月分費用 支払方式、居室、償却期間、返還条件、敷金の上限、入居日
月額の住居・生活費 家賃、管理費・共益費、食費、生活支援費 居室、食事回数、光熱水費、職員配置、値上げ規定
介護保険の自己負担 施設サービス、特定施設、グループホーム、外部の訪問介護等 要介護度、1〜3割の負担割合、地域区分、加算、利用量
医療・日常生活の実費 医療費、薬、理美容、おむつ、日用品、通院同行、レクリエーション 病状、施設の料金表、選択サービス、交通費、消耗量

公的3施設の費用

特養、老健、介護医療院では、原則として入居一時金ではなく、介護保険施設サービスの自己負担に居住費、食費、日常生活費を加えます。自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。居室が多床室、従来型個室、ユニット型個室のどれか、要介護度、加算、地域、所得区分で月額が変わります。

WAM NETの特養利用料の目安は、入所定員31人以上の施設について、1割負担の施設サービス費を1日547〜894円と掲載しています。これは要介護1〜5、従来型・多床室・ユニット型による同資料の幅です。特養の新規入所は原則要介護3以上であり、実際の請求には食費、居住費、理美容代等が加わります。所在地、職員配置、加算でも変わるため、個別施設の見積書で確認します。

民間施設の費用

有料老人ホームには、家賃等の全部または一部を入居時に払う前払い方式、月払い方式、併用方式などがあります。「入居一時金0円」は、毎月の家賃や敷金、管理費、食費、介護保険の自己負担まで0円という意味ではありません。

介護付きでは、家賃・管理費・食費等に、特定施設入居者生活介護の自己負担を加えます。住宅型とサ高住では、外部の訪問介護、訪問看護等の利用分が変動し、区分支給限度基準額を超えた部分は全額自己負担です。特定施設指定のあるサ高住は計算が異なります。

グループホームは、介護保険の自己負担に家賃、食材料費、光熱水費、日常生活費などを加えます。特養等の介護保険施設とは異なり、後述する特定入所者介護サービス費の対象ではありません。自治体独自の家賃助成等がある場合は、住所地の制度を確認します。

比較表には「入居月」「通常月」「医療が増えた月」「退居時」の4場面の総額を書きます。重要事項説明書、料金表、契約書をもらい、前払金の償却、返還金、値上げ、入院中の家賃・食費、追加介護、通院同行、退居予告期間まで読みます。

特養の待機中も暮らしをつなぐ

特養は、申込順だけで入所が決まるとは限りません。要介護度、認知症の状態、介護者の状況、在宅生活の困難さなどを施設の入所検討委員会が評価します。「待機人数」は、そのまま入所までの月数ではありません。

申込先と方法は自治体ごとに異なります。自治体の受付センターへ一括提出する地域もあれば、施設へ直接申し込む地域もあります。北九州市の入所指針では、原則として本人または家族が希望施設へ直接申し込み、第1希望施設で同時に3施設まで申し込める運用です。これは北九州市の例であり、親の住所地と希望施設がある自治体の申込案内を確認します

施設単位の申込みでは、希望する各施設へ届いているかを確認します。申込み後に要介護度、介護者、入院先、連絡先が変わったら施設へ届けます。

待機中は「入れるまで在宅で耐える」という一択にしません。

  • ショートステイの日数を増やせるか
  • 訪問介護・訪問看護・福祉用具で夜間の負担を下げられるか
  • 老健が退院後のリハビリ目的に合うか
  • 民間施設を一時的または長期の候補にできるか

ケアマネジャーには「限界です」だけでなく、眠れない日数、排泄介助の回数、転倒、徘徊、服薬、仕事への影響を伝えます。差し迫った危険がある場合は、地域包括支援センターや自治体にもつなぎます。

負担軽減制度を申請できるか確認する

介護費が高くなったときの制度は、対象となる費用が異なります。家賃や食費を含む請求総額すべてに同じ上限がかかるわけではありません。

制度 対象になる主な費用 申請前に確認すること
高額介護サービス費 1〜3割で負担した介護保険サービス費の月額合計 所得区分、世帯・個人上限、対象外の食費・居住費・日常生活費、市区町村への申請
特定入所者介護サービス費 介護保険施設・ショートステイの食費と居住費 市町村民税、年金等収入、預貯金等、配偶者、負担限度額認定
高額医療・高額介護合算制度 同じ医療保険世帯の医療と介護の年間自己負担 基準日、医療保険者、所得区分、申請先
自治体独自の助成 グループホーム家賃など自治体が定める費用 住所、所得・資産、対象サービス、申請時期

介護サービス情報公表システムの利用料案内では、高額介護サービス費は、月々の介護サービス利用者負担が所得区分ごとの上限を超えた場合に超過分が支給される制度です。掲載上限は、個人1万5,000円から世帯14万100円までです。これは同ページが2026年7月26日時点で示す所得区分別の幅で、親の上限は生活保護、市町村民税、年金・所得、世帯内の65歳以上の課税所得等で変わります。食費、居住費、福祉用具購入費など対象外の費用があります。

特定入所者介護サービス費は、所得と資産が一定以下の人について、特養、老健、介護医療院などの食費・居住費を負担限度額までとする制度です。利用には市区町村の負担限度額認定が必要です。配偶者が別世帯でも課税状況や資産を確認する場合があります。

2026年8月から食費・居住費の一部基準が変わる予定が公表されています。この記事の確認日は2026年7月26日です。入居月に有効な負担限度額認定証と自治体の最新表で見積もります。民間施設の家賃や食費は同制度の対象外ですが、自治体独自の助成がないかを確認します。

行き詰まったときの相談先と最終確認

施設探しの出発点は、親の地域を担当する地域包括支援センターとケアマネジャーです。厚生労働省は、地域包括支援センターを高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防などを担う市町村の機関と位置づけています。要介護認定を受けている場合は、ケアマネジャーに施設紹介と待機中のケアプランを相談します。

相談先 相談する内容 持っていく情報
地域包括支援センター 認定前の相談、地域の施設・制度、介護者の限界、権利擁護 親の住所、病気、生活状況、困っている場面、家族の連絡先
担当ケアマネジャー 要介護度に合う候補、特養申込み、待機中の在宅サービス 介護保険証、負担割合証、サービス利用票、事故や夜間介護の記録
主治医・退院支援担当者 医療処置、予後、リハビリ、退院期限、施設へ渡す診療情報 薬、処置内容、受診先、本人の希望、施設候補
市区町村の介護保険窓口 負担限度額認定、高額介護サービス費、住所地、申込方法 所得・資産、配偶者、希望施設、利用月
各施設 空室、入居条件、医療対応、費用、契約と退居条件 親の状態一覧、質問表、予算上限、緊急連絡先

契約前には、重要事項説明書と見積書を持ち帰り、月額に含まれない費用、医療対応が変わった場合の退居条件、前払金の返還、身元引受人・連帯保証、入院中の支払いを家族で読みます。

最後に、本人がどこでどう暮らしたいかを尋ねます。「少人数が落ち着く」「リハビリを続けたい」などの希望を候補表へ残します。要介護度・医療・予算に加え、本人の希望を満たす2〜3施設を並行して確認します

よくある疑問

よくある質問

要介護2でも特別養護老人ホームへ申し込めますか?

特養の新規入所は原則要介護3以上です。要介護1・2でも、認知症や家族による支援が難しいなど、居宅生活が著しく困難な事情がある場合は特例入所の対象となる可能性があります。施設または自治体へ特例要件と申込方法を確認してください。

介護老人保健施設にはずっと入居できますか?

老健は病状が安定した要介護者がリハビリ等を受け、在宅復帰を目指す施設です。長期の住まいを主目的とする施設とは役割が異なるため、入所時に退所判定の時期と退所後の候補を確認します。

グループホームは認知症の疑いだけで入居できますか?

入居時に主治医の診断書等で認知症であることを確認します。原則として要支援2または要介護1〜5で、少人数の共同生活に支障がないことも確認されます。地域密着型のため、住所地の要件は自治体と施設へ確認してください。

有料老人ホームの入居一時金が0円なら初期費用は不要ですか?

前払い方式を採らないプランでも、敷金、当月分の家賃・管理費・食費、日用品費などが必要な場合があります。0円が何を指すかを重要事項説明書と見積書で確認してください。

高額介護サービス費で施設の食費や家賃も戻りますか?

高額介護サービス費は介護保険の利用者負担が対象で、食費、居住費、日常生活費などは原則として対象外です。介護保険施設の食費・居住費には、所得・資産要件を満たす場合の特定入所者介護サービス費があるため、市区町村へ確認します。

次の一歩

次に確認すること

判断を進める前に、地域の公的な窓口で使える制度と相談先を確認してください。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説 サービス編」(2026年7月26日確認)
  2. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている生活関連情報について」(2026年7月26日確認)
  3. 厚生労働省「高齢者向け住まいについて」(2026年7月26日確認)
  4. 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正(2026年7月26日確認)
  5. 厚生労働省「介護医療院公式サイト」(2026年7月26日確認)
  6. 福祉医療機構 WAM NET「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」(2026年7月26日確認)
  7. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026年7月26日確認)
  8. 厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(2026年7月26日確認)
  9. 横浜市「地域密着型サービスについて知りたい」(2026年7月26日確認)
  10. 北九州市「特別養護老人ホームの入所決定方法」(2026年7月26日確認)
  11. 厚生労働省「地域包括ケアシステム」(2026年7月26日確認)