介護費用の負担を軽減するには?使える制度と申請先の確認順

介護費用の軽減制度と申請先の確認を表す請求書を、緑の手と葉がやさしく支えるイラスト

介護費用が続くと、いまの支払いを続けられるか不安になりますよね。まず請求をサービス費、食費・居住費、医療費、保険料に分け、高額介護サービス費と負担限度額認定を優先して確認し、医療保険や税の制度まで順に申請先を決めます。

目次
  1. 結論 先に月額上限と施設費の認定を確認する
  2. 毎月のサービス費は高額介護サービス費で確認する
  3. 医療と介護の両方が重いときは年間合算を確認する
  4. 施設の食費・居住費は負担限度額認定を確認する
  5. 保険料と利用料の軽減は自治体と事業者の両方へ確認する
  6. 税の負担は医療費控除と障害者控除認定を分けて確認する
  7. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 高額介護サービス費の月額上限と所得区分
  • 施設の食費・居住費を軽減する認定要件
  • 医療と介護の合算、保険料・利用料軽減の申請先
  • 医療費控除と障害者控除対象者認定の確認方法

結論 先に月額上限と施設費の認定を確認する

介護費用の軽減制度は、同じ所得でも「何に支払った費用か」で入口が違います。介護サービスの1〜3割負担には高額介護サービス費、施設の食費・居住費には負担限度額認定があります。医療費との年間合算、保険料の減免、税の控除は別の手続きです。

請求書を費用の種類ごとに分け、制度と申請先を一つずつ対応させることが最初の判断です。ケアマネジャーや施設へ「使える制度はありますか」と尋ねるだけでなく、親の住民票がある市区町村の介護保険窓口へ所得区分を確認します。

  1. 直近3か月の請求書と領収証を分ける
    介護サービスの自己負担、食費・居住費、日常生活費、保険外サービス、医療費を月ごとに集計します。
  2. 親の所得区分と世帯の課税状況を確認する
    介護保険負担割合証、住民税の課税証明書、年金振込通知書を用意し、住民票上の世帯員も確認します。
  3. 高額介護サービス費を申請する
    月の対象自己負担が上限を超えていないか、市区町村の介護保険窓口へ確認します。
  4. 施設利用があれば負担限度額認定を申請する
    世帯と配偶者の課税状況、本人・配偶者の預貯金等を確認し、認定証を施設へ提示します。
  5. 医療保険と税の制度を確認する
    年間の医療・介護負担は加入医療保険へ、医療費控除と障害者控除対象者認定は税・高齢福祉の窓口へ確認します。
  6. 支払い継続が難しければ生活相談へつなぐ
    保険料の減免、自立相談支援機関、福祉事務所を同時に確認し、滞納やサービス中断の前に相談します。

制度は、申請書の提出、認定証の提示、確定申告などをして初めて反映されるものが中心です。自治体から案内が届く場合や、初回申請後の振込が自動になる場合はありますが、案内が来るまで待つ前提にはしません。「申請済みか」「認定証を施設へ提示したか」「更新が必要か」まで確認します

毎月のサービス費は高額介護サービス費で確認する

高額介護サービス費は、1か月に支払った介護保険サービスの1〜3割負担が所得区分別の上限を超えたとき、超過分が支給される制度です。同じ住民票上の世帯に介護サービス利用者が複数いれば、対象負担を合算して世帯上限を判定します。

2026年7月26日に確認した横浜市の案内では、月額上限を次のように示しています。これは介護保険法に基づく区分ですが、所得判定の詳細と申請方法は保険者である市区町村へ確認します。

所得区分の目安 月の自己負担上限 確認すること
課税所得690万円以上に相当する第1号被保険者がいる世帯 140,100円(世帯) 所得判定の対象者、前年所得
課税所得380万円以上690万円未満に相当する人がいる世帯 93,000円(世帯) 課税所得と世帯構成
上記以外の住民税課税世帯 44,400円(世帯) 住民税課税者の有無
世帯全員が住民税非課税 24,600円(世帯) 非課税証明、転入前の所得
非課税世帯で年金収入等が年80万9,000円以下の人、老齢福祉年金受給者 24,600円(世帯)かつ15,000円(個人) 課税年金収入とその他の合計所得
生活保護受給者等 15,000円(個人) 境界層措置を含む区分

表の年80万9,000円は2026年7月時点の基準です。2026年8月から82万6,500円へ変わる案内が自治体から出ているため、8月以後の判定は親の市区町村に確認します。

対象になるのは、介護保険給付の範囲にあるサービスの利用者負担です。施設の食費・居住費、日常生活費、福祉用具購入、住宅改修、支給限度額を超えて全額自己負担したサービス、保険外サービスは含まれません。領収証の総額ではなく「介護保険対象の利用者負担額」を集計します

申請先は、親の介護保険被保険者証を発行した市区町村です。申請書、被保険者証、振込先口座が分かるものなどを求められます。支給を受ける権利には時効があるため、過去分がある場合は対象月と申請期限も尋ねます。

医療と介護の両方が重いときは年間合算を確認する

高額介護サービス費を使っても医療費と介護費が重なる世帯は、高額医療・高額介護合算療養費を確認します。厚生労働省の案内では、同一の医療保険に加入する世帯員について、毎年8月1日から翌年7月31日までの対象自己負担を合計します。

後期高齢者医療の2026年時点の年額上限は、現役並み所得Ⅲが212万円、Ⅱが141万円、Ⅰが67万円、一般Ⅰ・Ⅱが56万円、住民税非課税の区分Ⅱが31万円、区分Ⅰが19万円です。70歳未満を含む世帯では区分や上限が異なります。親の年齢だけで決めず、基準日現在に加入している医療保険へ区分を確認します

確認する費用 合算に含む考え方 含まれない主な費用
医療保険 保険診療の自己負担から高額療養費等を差し引いた額 入院時の食事、差額ベッド、先進医療など保険外負担
介護保険 対象サービスの利用者負担から高額介護サービス費等を差し引いた額 食費・居住費、日常生活費、保険外サービス
世帯 同一の医療保険に属する人の対象額 住民票上は同世帯でも別の医療保険に加入する人の額

申請先は、計算期間の基準日である7月31日時点に加入していた医療保険です。国民健康保険と後期高齢者医療は市区町村等の窓口、会社の健康保険は健康保険組合や協会けんぽなどへ確認します。期間中に医療保険や介護保険が変わった場合は、以前の保険者が発行する自己負担額証明書を求められることがあります。

対象と思われる世帯へ申請案内が届く運用もあります。しかし、転居、保険変更、別保険の家族がいる場合などは把握されず、案内が届かないことがあります。1年間の医療と介護の対象負担を概算し、加入先へ申請書と証明書の要否を尋ねます。

施設の食費・居住費は負担限度額認定を確認する

特定入所者介護サービス費は、介護保険施設やショートステイの食費・居住費に日額上限を設ける仕組みです。対象施設は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院です。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の家賃・食費には、この認定をそのまま使えません。

負担限度額認定は、本人と世帯全員が住民税非課税で、別世帯の配偶者も住民税非課税であることが基本です。さらに、本人と配偶者の預貯金、現金、有価証券、投資信託、残高で時価を把握できる金・銀などを合算します。世帯分離をしただけで対象になる制度ではありません。

大阪市の2026年案内が示す所得・資産要件は次のとおりです。金額は同案内の全国制度に基づく基準であり、収入の集計方法、負債の控除、必要書類は申請先で変わります。

利用者負担段階 所得の目安(世帯・配偶者は非課税) 預貯金等の上限
第1段階 老齢福祉年金受給者。生活保護受給者は資産要件なし 単身1,000万円、夫婦2,000万円以下
第2段階 年金収入等が80万9,000円以下。2026年8月から82万6,500円以下 単身650万円、夫婦1,650万円以下
第3段階① 80万9,000円超120万円以下。2026年8月から82万6,500円超120万円以下 単身550万円、夫婦1,550万円以下
第3段階② 120万円超 単身500万円、夫婦1,500万円以下

年金収入等には、課税年金だけでなく遺族年金・障害年金などの非課税年金と、その他の合計所得金額も含めます。第2号被保険者は段階にかかわらず、預貯金等が単身1,000万円、夫婦2,000万円以下という基準です。

2026年7月31日までの施設サービスの食費上限は、第1段階300円、第2段階390円、第3段階①650円、第3段階②1,360円の日額です。2026年8月から第3段階①は680円、第3段階②は1,420円となります。居住費は部屋の種類と施設種別で変わり、2026年8月には第3段階②の一部が改定されます。施設名、部屋類型、入所かショートステイかを伝え、認定後の日額を市区町村と施設の両方へ確認します

申請では、負担限度額認定申請書、同意書、本人・配偶者のすべての通帳の写し、定期預金や証券口座の残高資料などを求められます。認定証を受け取ったら施設へ提示します。認定期間は年度途中で切れるため、継続利用では更新時期も確認します。

保険料と利用料の軽減は自治体と事業者の両方へ確認する

介護サービスを使ったときの利用料とは別に、65歳以上の人は介護保険料を納めます。災害、失業、事業の休廃止、世帯の生計中心者の死亡などで収入が著しく減り、納付が難しい場合は、自治体の条例による減免や徴収猶予を受けられることがあります。

横浜市の案内も、災害や失業等による所得の著しい減少などを減免相談の例に挙げています。要件、減免割合、申請期限は自治体ごとに異なります。納期限を過ぎる前に、介護保険料決定通知書と収入減少が分かる書類を持って介護保険料担当へ相談します

低所得で生計が難しい人には、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度もあります。自治体から確認証の交付を受け、軽減を申し出ている社会福祉法人の対象サービスを利用すると、介護サービスの1割負担、食費、居住費などが原則25%、老齢福祉年金受給者などは50%軽減される運用例があります。

ただし、自治体が対象者を認定し、軽減事業を実施する法人の対象サービスを使うことが前提です。大阪市の案内では、特別養護老人ホーム、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護などを対象として案内しています。食費・居住費は、負担限度額認定を受けていることが条件になるサービスもあります。

制度 最初の確認先 用意する資料
介護保険料の減免・徴収猶予 市区町村の介護保険料担当 保険料通知書、収入・資産、災害・失業等が分かる書類
社会福祉法人等の利用者負担軽減 市区町村の介護保険給付担当 課税状況、収入・資産、利用サービス・事業者名
自治体独自の助成 市区町村の介護保険窓口 負担割合証、請求書、所得・資産資料

自治体独自に在宅サービス、グループホーム、施設居住費などを助成している場合もあります。「高額介護サービス費以外の低所得者向け助成」「社会福祉法人の軽減対象事業者一覧」の二つを窓口で尋ねると、候補を拾いやすくなります。

税の負担は医療費控除と障害者控除認定を分けて確認する

税の制度は、その場の請求額を下げるものではありません。支払った年の所得税・住民税を計算するときに控除を反映します。誰が費用を支払い、誰と生計を一にしているかで申告する人が変わるため、領収証の支払者と家計の実態を整理します。

医療費控除では、介護サービスのすべてが対象になるわけではありません。国税庁の居宅サービス案内施設サービス案内で、対象を次のように分けています。

サービスの例 医療費控除の扱い 確認資料
訪問看護、訪問・通所リハビリ、居宅療養管理指導、短期入所療養介護 介護保険給付対象の自己負担が対象 領収証の医療費控除対象額
訪問介護、通所介護、短期入所生活介護など 同じ月のケアプランで医療系サービスと併用した場合などに対象 サービス利用票、領収証
特別養護老人ホーム 介護費、食費、居住費の自己負担の2分の1相当が対象 施設発行の領収証
介護老人保健施設、介護医療院 介護費、食費、居住費の対象自己負担が対象 施設発行の領収証
生活援助中心の訪問介護、有料老人ホームの特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与 原則として対象外 サービス名と請求内訳

高額介護サービス費や民間保険などで補てんされた金額は、対象医療費から差し引きます。施設や事業者の領収証には医療費控除対象額が記載されるため、請求総額を自己判断で申告しません。おむつ代は、医師の証明書または一定要件を満たす市区町村の確認書が必要です。

もう一つは障害者控除対象者認定です。国税庁の案内では、要介護認定を受けただけでは障害者控除の対象にならないとしています。一方、65歳以上で、認知症や寝たきりなどの状態が知的障害者・身体障害者等に準ずるとして市町村長等の認定を受けた人は、対象になる場合があります。

申請先は、親が住む市区町村の高齢福祉、介護認定、障害者控除対象者認定の担当です。判定基準、対象となる要介護度、基準日は自治体ごとに異なります。認定書を受け取った後、年末調整または確定申告で控除を申告します。介護保険の認定と税の認定を同じものとして扱わず、認定書の交付と税の申告を別に行います

行き詰まったときの相談先と最終確認

軽減制度を使っても、年金や収入だけでは家賃、食費、介護費を払えない場合があります。滞納が始まってからではなく、翌月の支払いが難しいと分かった段階で生活相談へつなぎます。

相談先 相談する内容 先に伝えること
市区町村の介護保険窓口 高額介護、負担限度額、保険料減免、社会福祉法人軽減 被保険者番号、世帯、所得、預貯金、利用サービス
加入する医療保険 高額医療・高額介護合算療養費 8月から翌年7月の医療・介護負担、保険変更歴
ケアマネジャー・施設相談員 請求内訳、認定証の提示、サービス組み替え 月の予算、保険外費用、今後の利用予定
税務署・市区町村の税窓口 医療費控除、障害者控除の申告 領収証、補てん額、認定書、生計関係
自立相談支援機関 家計改善、住まい、就労、他制度への接続 収入、家賃、債務、滞納、介護で働けない事情
福祉事務所の生活保護担当 収入・資産を活用しても最低生活を維持できない状況 世帯全体の収入・資産、住居、医療・介護の必要性

生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関では、家計の見える化、支援計画、関係機関への接続などを相談できます。生活保護の相談・申請先は、現在住んでいる地域を所管する福祉事務所です。厚生労働省は、必要書類がそろっていなくても申請でき、同居していない親族へ先に相談することは申請条件ではないと案内しています。

最後に、直近3か月の請求書、介護保険被保険者証・負担割合証、世帯全員の課税状況、年金とその他所得、本人・配偶者の預貯金、加入医療保険、過去の申請・認定証を一枚のメモにまとめます。それぞれの窓口で「対象か」だけでなく、申請期限、適用開始月、更新、必要書類まで確認します

よくある疑問

よくある質問

高額介護サービス費は一度申請すれば毎月申請が必要ですか?

自治体によっては初回の支給申請後、同じ口座へ自動的に振り込む運用があります。ただし初回申請が必要で、口座や世帯状況の変更時には再手続きが必要な場合があります。親の介護保険被保険者証を発行した市区町村へ確認してください。

施設の食費・居住費は高額介護サービス費に含まれますか?

食費・居住費、日常生活費などは高額介護サービス費の対象外です。住民税非課税世帯などの要件を満たす場合は、別に介護保険負担限度額認定を申請します。

親と世帯分離すれば負担限度額認定を受けられますか?

世帯分離だけで認定されるとは限りません。本人の世帯全員に加え、別世帯の配偶者の課税状況も確認され、本人と配偶者の預貯金等にも要件があります。

要介護認定があれば障害者控除を使えますか?

要介護認定だけでは障害者控除の対象になりません。65歳以上で障害の程度が一定の基準に準ずる場合、市区町村へ障害者控除対象者認定を申請できることがあります。

次の一歩

次に確認すること

判断を進める前に、地域の公的な窓口で使える制度と相談先を確認してください。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 横浜市「介護サービスの利用者負担軽減について」(2026年7月26日確認)
  2. 厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について」(2026年7月26日確認)
  3. 大阪市「介護保険負担限度額認定申請書」(2026年7月26日確認)
  4. 横浜市「保険料について」(2026年7月26日確認)
  5. 大阪市「社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度」(2026年7月26日確認)
  6. 国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」(2026年7月26日確認)
  7. 国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」(2026年7月26日確認)
  8. 国税庁「市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について」(2026年7月26日確認)
  9. 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」(2026年7月26日確認)
  10. 厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」(2026年7月26日確認)