保険外の介護サービスはどう使う?介護保険で足りない支援の補い方

保険外介護サービスの利用を相談する高齢女性と介護スタッフを描いた穏やかな線画イラスト

介護保険だけでは夜間や長時間の付き添いまで埋まらず、家族で抱えるしかないのかと迷いますよね。まず地域包括支援センターとケアマネジャーに相談して保険内の支援を整え、自治体や地域の支援を確認したあと、残る時間と作業を全額自己負担の保険外サービスで補います。

目次
  1. 結論 最初に地域包括支援センターへ相談する
  2. 介護保険で頼めることをケアプランで確認する
  3. 介護保険で頼めないことを具体例で線引きする
  4. 保険外の前に公的・低廉な支援を探す
  5. 保険内と保険外は時間と契約を分けて組み合わせる
  6. 保険外を使う判断と事業者の確認事項
  7. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 介護保険の訪問介護で頼める範囲
  • 生活援助・院内介助が対象外になる考え方
  • 公的・低廉な支援から自費へ進む順番
  • 保険外事業者との契約で確認する項目

結論 最初に地域包括支援センターへ相談する

保険外サービスを探す前に、困っている場面を「何を」「いつ」「何時間」「週何回」に分けます。そのメモを持ち、親が住む地域の地域包括支援センターへ相談します。すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、同時に連絡します。

地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。介護保険だけでなく、自治体の高齢者向け事業や地域の支え合いも含めて相談できます。先に公的な相談先で使える制度を整理し、埋まらない時間と作業だけを保険外にします

  1. 困る場面を一週間の表にする
    夜間のトイレ、通院日の移動と待ち時間、家族の勤務中の見守り、掃除などを、曜日・時刻・所要時間と一緒に書きます。
  2. 地域包括支援センターへ相談する
    要介護認定がない場合も相談できます。申請の要否、自治体の生活支援、相談できる地域資源を確認します。
  3. ケアマネジャーとケアプランを見直す
    認定済みなら、訪問介護だけでなく、通所、短期入所、定期巡回などで負担を減らせないかを検討します。
  4. 公的・低廉な支援を探す
    自治体の総合事業、配食・ごみ出し・移送支援、社会福祉協議会、シルバー人材センター、住民主体の活動を確認します。
  5. 残る支援を保険外として切り出す
    夜間の長時間見守り、院内の付き添い、家族分の家事など、利用目的と必要時間を明確にします。
  6. 契約条件をそろえて比較する
    総額、最低利用時間、キャンセル、事故対応、担当者交代などを書面で確認し、小さな単位から利用を始めます。

急な体調悪化や転倒、意識の変化があるときは、生活支援サービスを探す場面ではありません。救急相談や医療機関へつなぎます。夜間の不安が医療処置や症状観察に関係する場合は、主治医、訪問看護、ケアマネジャーへ相談し、家事・見守りの依頼と分けて考えます。

介護保険で頼めることをケアプランで確認する

訪問介護は「家に来てもらえる時間売りのサービス」ではありません。本人が自宅で生活を続けるため、心身の状態と目標に沿ってケアプランへ位置づけた身体介護、生活援助、通院等乗降介助を提供します。

区分 介護保険で検討する内容 相談時に伝えること
身体介護 食事、排せつ、入浴、更衣、移乗、服薬の介助など 本人ができる動作、危険がある動作、必要な見守り
生活援助 本人のための掃除、洗濯、調理、日用品の買い物など 本人・家族が家事を行えない事情、使う部屋、必要な頻度
通院等乗降介助 通院のための乗車前後、乗降、受診手続き等の介助 自宅から受診までの動線、車いす、院内で必要な介助

厚生労働省の案内でも、生活援助は掃除・洗濯・買い物・調理などとされています。ただし、できる作業名だけで決まるのではありません。本人に日常生活上必要か、本人や家族では行えないか、本人の自立を支える内容かをケアマネジメントで確認します。

「夜に一人にできない」という困りごとも、すぐに長時間の自費見守りへ置き換えないことが大切です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護、短期入所、通所サービスの延長、福祉用具、見守り機器など、別の介護保険サービスで負担を分けられる場合があります。利用できるサービスと空き状況は地域で異なります。

区分支給限度基準額まで利用しているときも、単純に同じサービスを自費で足す前に、ケアプラン全体を見直します。訪問回数が必要な理由、家族が担っている時間、本人の睡眠や排せつの状態を伝えると、支援方法を検討しやすくなります。

介護保険で頼めないことを具体例で線引きする

訪問介護で対象外になりやすいのは、本人への援助ではない行為と、日常生活の範囲を超える行為です。厚生労働省の公表システム神戸市の解釈例を基に整理すると、次のように分けられます。

頼みたいこと 介護保険での考え方 次に確認する先
同居家族の部屋の掃除、家族分の調理・洗濯 本人への直接援助ではないため対象外 家族内の分担、家事支援、保険外サービス
来客用の買い物、食事の用意、来客対応 本人の日常生活上の援助とは分ける 家事代行、親族、地域の助け合い
大掃除、換気扇掃除、窓ガラス磨き、引っ越し準備 日常的な家事の範囲を超えるため対象外 シルバー人材センター、家事支援事業者
草むしり、庭木の手入れ、花木の水やり 本人の日常生活援助とは扱わない シルバー人材センター、地域事業者
ペットの散歩、餌やり、ケージ掃除 ペットの世話は対象外 家族、ペットシッター、保険外サービス
趣味・娯楽の外出、墓参り、冠婚葬祭の付き添い 日常生活上不可欠な外出とは別に判断 移送支援、保険外の外出付き添い
留守番や話し相手だけを長時間頼む ケアプラン上の具体的援助でなければ対象外 見守り事業、住民支援、保険外サービス

同居家族がいる場合の生活援助

同居家族がいるだけで、本人の生活援助が一律に使えなくなるわけではありません。一方で、「家族が忙しい」という説明だけでは、介護保険の必要性を判断できません。

神戸市は、家族が提供できない事情、本当に必要なサービス量、ほかのサービスを導入できるかを個別に検討するよう示しています。家族の疾病・障害、就労、ほかの家族の介護、日中不在の時間、家事をすると危険な状況などを具体的に伝えます。自治体ごとの運用もあるため、ケアマネジャーと市区町村へ確認します。

通院と院内介助

自宅から医療機関までの移動介助と、病院内での待ち時間・移動介助は分けて考えます。院内は医療機関の職員が対応することが基本です。そのため、診察待ちにずっと付き添うことや、家族の代わりに医師の説明を聞くことまで、訪問介護に含まれるとは限りません。

ただし、本人の心身の状態からトイレや診療科間の移動に介助が必要で、医療機関では対応できないことを確認し、その必要性と内容をケアプランに位置づけた場合は、院内介助を扱えることがあります。「通院付き添いは全部対象外」「院内も全部使える」のどちらでもなく、移動の各場面を分けて確認します

受診中にたんの吸引、経管栄養、症状の観察など医療的な支援が必要なら、保険外の家事・付き添いサービスだけで引き受けられるとは限りません。主治医、訪問看護、ケアマネジャーへ、必要な資格と緊急時対応を確認します。

保険外の前に公的・低廉な支援を探す

介護保険の対象外だからといって、すぐに民間の自費サービスだけが候補になるわけではありません。自治体や地域によっては、所得や年齢、要支援認定、ひとり暮らしなどの条件を設け、生活支援を用意しています。

厚生労働省の総合事業の案内は、市町村が中心となり、住民等の多様な主体が参加する支援を充実させる考え方を示しています。名称、対象、料金、利用回数は市区町村ごとに異なるため、親の住所地で次の順に探します。

確認先 探すサービスの例 確認する条件
市区町村・地域包括支援センター 総合事業の訪問型サービス、配食、緊急通報、ごみ出し、移送、紙おむつ等 対象年齢、認定、所得、同居状況、回数、自己負担
市区町村社会福祉協議会 住民参加型の家事援助、ボランティア、移送、見守り、配食 実施地域、会員登録、利用料、担い手、予約日数
シルバー人材センター 掃除、洗濯、買い物、除草、簡単な家事など 受けられる仕事、作業時間、安全上できないこと、料金
住民主体の支援・NPO ごみ出し、電球交換、買い物、話し相手、通いの場など 対象地区、活動日時、謝礼、急な依頼への対応

全国社会福祉協議会は、市区町村社協が地域の特性に応じた在宅生活支援やボランティア活動の拠点を担うと案内しています。すべての社協が同じ家事援助を提供するわけではありませんが、地域の支援団体を知っていることがあります。

全国シルバー人材センター事業協会は、主な仕事に家事サービスを挙げています。介護職による身体介護とは異なり、センターごとに受けられる作業や契約形態が違います。身体を支える移乗や夜間の連続見守りではなく、大掃除や庭仕事など作業を切り分けて相談すると適否を確認しやすくなります。

公的・低廉な支援は、利用枠、曜日、対象地区が限られることがあります。「安いから全部を任せる」のではなく、定期のごみ出しは住民支援、庭仕事はシルバー人材センター、身体介護は訪問介護というように、役割を分けます。

保険内と保険外は時間と契約を分けて組み合わせる

保険外サービスは、公的介護保険の給付対象ではないサービスです。利用者と事業者の契約で利用し、費用は全額自己負担になります。要介護認定がない人でも利用できる場合があり、介護保険の対象外となる家事、長時間の見守り、趣味の外出付き添いなどを選べます。

厚生労働省の2018年通知は、介護保険の訪問介護と保険外サービスを組み合わせる場合、両者を明確に区分するよう示しています。たとえば、訪問介護の前後や合間に、保険外として草むしりやペットの世話を提供する例があります。

組み合わせるときは、次の四つを分けます。

  • 作業: 介護保険で行う本人の排せつ介助と、保険外で行う家族分の調理を混ぜない
  • 時間: 何時から何時までが訪問介護で、どの時点から保険外へ切り替わるかを記録する
  • 料金: 介護保険の自己負担分と、保険外の全額自己負担分を明細で分ける
  • 契約: 保険外のサービス内容、利用料、運営規程、会計を介護保険サービスと区分する

同じ事業者や同じ担当者が連続して提供する場合は、切り替えが見えにくくなります。開始・終了時刻、作業記録、請求書の区分を確認します。認知機能が低下している親には、担当者から切り替えをその都度説明してもらう方法もあります。

保険外サービスを契約する前後には、担当ケアマネジャーへ内容と時間を伝えます。自費部分も週間予定に記録しておくと、介護保険サービスとの重複、休息の不足、事業者間の連絡漏れを見つけやすくなります。

保険外を使う判断と事業者の確認事項

保険外を使うのは、「介護保険で断られた作業を何でも頼むため」ではありません。公的・地域の支援を確認したあとも、家族が継続して担えない具体的な時間や作業が残るときに検討します。

まず一週間分の不足を数えます。たとえば「火曜の受診で自宅から病院まで4時間」「家族の出張中、金曜20時から土曜8時まで」「毎日18時のペットの餌やり」のように書きます。毎週の固定依頼と、月に一度の長時間依頼を分けると、最低利用時間や定期契約の向き不向きを比較できます。

料金は、事業者が公開する時間単価だけでは総額を判断できません。最低利用時間、交通費、早朝・夜間・休日の加算、指名料、当日延長、介護度や2人体制による加算、キャンセル料で変わります。この記事では全国一律の金額幅を置かず、同じ依頼条件で個別見積もりを取る方法を勧めます。

確認項目 契約前に聞くこと 書面に残すこと
料金体系 時間単価のほかに交通費、夜間・休日、延長、指名等がかかるか 税込み総額、加算条件、支払日、領収書
最低利用時間 1回何時間からか、短時間でも最低時間分を払うか 予定時間と最低請求額、延長単位
キャンセル料 いつから何%か、入院・悪天候時の扱いはどうか 締切時刻、連絡方法、例外条件
損害賠償保険 物損、けが、鍵の紛失など何が補償対象か 保険の有無、補償範囲、事故連絡先
担当者の交代 相性が合わないときに交代できるか、急な欠勤時に代替者が来るか 交代手続き、追加料金、引き継ぎ方法
身元の確認 採用時に本人確認、資格確認、研修をどう行うか 担当者名、資格、事業者の確認方法
対応範囲 移乗、服薬、金銭・鍵、ペット、車の運転、医療的支援を扱うか 頼む作業、対象外、緊急時の対応
記録と苦情 毎回の報告を家族が見られるか、苦情窓口があるか 報告方法、連絡先、個人情報の扱い

経済産業省が公表する生活支援サービスの業界自主ガイドラインも、サービス内容・料金・キャンセル等の説明、従事者の本人確認や教育、事故・苦情への対応などを事業者の確認点として整理しています。ガイドラインへの適合表示だけで決めず、実際の契約書と運用を照合します。

夜間や長時間は、一人の担当者が連続して対応するとは限りません。交代の時刻と人数、親が交代を受け入れられるか、欠員時にサービスが中止になるかを確認します。認知症がある場合は、初回面談に家族やケアマネジャーが同席し、呼び方、落ち着く声かけ、してほしくないことを共有します。

通院付き添いでは、車での送迎、院内移動、受付、診察同席、会計、薬の受け取りを分けます。運送の許可・契約、医師の説明を誰が聞くか、個人情報を誰へ伝えてよいかも確認します。担当者が治療方針を代わりに決めるわけではないため、緊急時の家族連絡と本人の意思確認方法を決めておきます。

最初から回数の多い長期契約にせず、初回面談や短い利用で、説明どおりの担当者が来るか、記録が残るか、親が不安を感じないかを確認します。比較するのは時間単価だけでなく、予定どおり来られない場合と事故が起きた場合の対応です

行き詰まったときの相談先と最終確認

介護保険の対象か、自治体の支援を使えるか、民間契約に問題があるかで相談先が異なります。ケアプラン、週間予定、見積書、契約書、利用記録、請求書を手元に置くと話が伝わりやすくなります。

相談先 相談する内容 先に伝えること
地域包括支援センター 要介護認定、自治体の高齢者支援、地域資源、家族の介護負担 親の住所、心身の状態、困る曜日と時間、同居・別居
担当ケアマネジャー 訪問介護の範囲、ケアプラン変更、保険外との組み合わせ 現在のサービス、家族が担う時間、断られた作業と理由
市区町村の介護保険担当 生活援助や院内介助の地域の解釈、総合事業の対象 被保険者番号、認定区分、必要な支援、家族の状況
市区町村社会福祉協議会 住民参加型支援、ボランティア、地域団体 住所、頼みたい作業、頻度、身体介護の有無
消費生活センター・消費者ホットライン188 解約、キャンセル料、説明と違う請求、契約トラブル 広告、契約書、見積書、請求書、やり取りの記録

利用開始前に、介護保険で行う作業、公的・地域支援に頼む作業、保険外へ頼む作業を一枚に分けます。保険外については、曜日・時刻・担当者・総額・キャンセル・事故時の連絡先・家族への報告方法を確認します。

親の状態や家族の勤務は変わります。保険外サービスを入れた後もケアマネジャーへ利用状況を共有し、ケアプランの定期見直しに合わせて、自費の時間が今も必要かを確かめます。家族が無理なく続けられ、本人の生活目標に合っているかを基準に調整します。

よくある疑問

よくある質問

要介護認定がなくても保険外の介護サービスを利用できますか?

事業者の利用条件に合えば、要介護認定の有無にかかわらず契約できるサービスがあります。ただし、介護保険や自治体の支援を使える可能性があるため、先に地域包括支援センターへ困りごとを相談します。

同居家族がいると介護保険の生活援助は利用できませんか?

同居していることだけで一律に決まるものではありません。家族の障害・疾病、就労、介護負担など家事を担えない事情と、本人の日常生活上の必要性をケアマネジャーや市区町村へ具体的に伝えます。

通院の待ち時間も訪問介護を利用できますか?

院内は医療機関の職員による対応が基本です。本人の心身の状態から介助が必要で、医療機関では対応できないことを確認し、ケアプランへ位置づけた場合に対象となることがあります。単なる待ち時間や家族への説明同席は別に確認します。

保険外サービスは一度だけでも利用できますか?

単発利用に対応する事業者もありますが、最低利用時間、会員登録、初回事務手数料などの条件は事業者ごとに異なります。利用したい日時と作業を伝え、定期契約を前提としない料金の総額を確認してください。

次の一歩

次に確認すること

判断を進める前に、地域の公的な窓口で使える制度と相談先を確認してください。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」(2026年7月26日確認)
  2. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「訪問介護(ホームヘルプ)」(2026年7月26日確認)
  3. 神戸市「訪問介護サービスの提供について」(2026年7月26日確認)
  4. 世田谷区「訪問介護サービスの利用法~利用できる?できない?~」(2026年7月26日確認)
  5. 厚生労働省「地域包括ケアシステム」(2026年7月26日確認)
  6. 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」(2026年7月26日確認)
  7. 全国社会福祉協議会「社会福祉協議会(社協)」(2026年7月26日確認)
  8. 全国シルバー人材センター事業協会「シルバー人材センターで行っている主な仕事」(2026年7月26日確認)
  9. 経済産業省「介護関連サービスの業界自主ガイドライン」(2026年7月26日確認)
  10. 経済産業省「生活支援サービス提供事業者が遵守すべきガイドライン」(2026年7月26日確認)