在宅介護サービスには何がある?訪問・通所・短期入所・福祉用具の選び方

自宅で高齢の親と介護相談員が在宅介護サービスの資料を穏やかに確認しているイラスト

在宅介護のサービス名が多く、親に何を組み合わせればよいか迷いますよね。まず「家の中の介助」「日中の居場所と入浴」「家族が休む時間」「移動や住環境」のどこが足りないかを整理し、訪問・通所・短期入所・福祉用具と住宅改修の4系統からケアマネジャーと選びます。

目次
  1. 結論 足りない支援を4系統から選ぶ
  2. 訪問系は誰に何を頼むかで選ぶ
  3. 通所系は入浴・居場所かリハビリかで選ぶ
  4. 短期入所と福祉用具で介護を続けやすくする
  5. 利用限度と複合サービスをケアプランで調整する
  6. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 在宅介護サービス4系統の役割
  • 訪問介護・看護・リハビリ・入浴の違い
  • デイサービス・デイケア・ショートステイの選び方
  • 利用限度額と福祉用具・住宅改修の確認点

結論 足りない支援を4系統から選ぶ

在宅介護は、家族だけで一日のすべてを支える形に限りません。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、自宅への訪問、施設への通所、短期間の宿泊、福祉用具などが案内されています。

この記事では、選びやすいように「訪問系」「通所系」「短期入所」「福祉用具・住宅改修」の4系統に整理します。サービス名から選ぶのではなく、いま家族だけでは埋めにくい時間や動作から選びます

  1. 困る場面を一日の時刻に沿って書く
    起床、排泄、食事、服薬、入浴、外出、就寝、夜間に分け、本人が一人では難しい動作と家族が対応できない時間を記録します。
  2. 医療・介護・住環境の課題を分ける
    病状の観察や医療処置、食事や排泄の介助、段差や移乗の危険を分けます。誰が担当する支援かが見えやすくなります。
  3. 4系統から優先順位を付ける
    自宅での直接支援は訪問、日中の居場所は通所、家族が休む日や不在日は短期入所、動作と環境の補助は福祉用具・住宅改修を候補にします。
  4. ケアマネジャーへ希望を伝える
    「デイサービスを週2回」だけでなく、「週2回は安全に入浴し、家族が午後まで仕事をしたい」のように目的と必要な時間を伝えます。
  5. 支給限度と保険外費用を確認する
    要介護度ごとの区分支給限度基準額、食費や滞在費などの保険外費用、限度を超える場合の自己負担を月額で確かめます。
  6. 利用後に不足と過剰を見直す
    本人の疲れ、家族の睡眠、転倒や服薬忘れ、入浴回数などを確認し、回数や種類をケアマネジャーと調整します。
4系統 向いている困りごと 最初に確認すること
訪問系 起床・排泄・食事・入浴、病状観察、自宅でのリハビリ 必要な専門職、曜日、時刻、1回の支援内容
通所系 日中の見守り、入浴、食事、交流、機能訓練 送迎、滞在時間、入浴、リハビリ体制、休業日
短期入所 家族の休息、出張・入院・冠婚葬祭、一時的な介護困難 希望日、空床、医療対応、食費・滞在費、送迎
福祉用具・住宅改修 立ち上がり、移動、移乗、排泄、入浴時の危険 貸与か購入か、適合、試用、工事前申請

一つの系統だけで埋めようとすると、別の困りごとが残ることがあります。たとえば訪問介護で朝の着替えを支え、通所介護で入浴と日中の見守りを確保し、ベッド周りに手すりを借りる組み合わせも考えられます。

訪問系は誰に何を頼むかで選ぶ

訪問系は、同じ「家に来るサービス」でも担当する職種と目的が異なります。頼みたい作業を先に決め、介護、看護、リハビリ、入浴のどれが中心かを見ます。

サービス 主な役割 選ぶ目安
訪問介護 訪問介護員が食事・排泄・入浴などの身体介護と、掃除・洗濯・調理・買い物など本人の生活援助を行う 日常動作や本人分の家事を支えてほしい
訪問看護 看護師等が主治医の指示に基づき、病状観察、療養上の世話、診療の補助を行う 医療的な観察や処置、服薬・療養の相談が必要
訪問リハビリ 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が自宅で心身機能や生活動作の維持・回復を支える 実際の玄関、浴室、寝室で動作を練習したい
訪問入浴介護 看護職員と介護職員が浴槽を持参し、自宅で入浴を介助する 自宅の浴槽では入浴が難しく、清潔を保ちたい

訪問介護は、家政婦のように世帯全体の家事を引き受けるサービスではありません。本人以外の部屋の掃除、家族分の調理、庭仕事、大掃除などは対象外となることがあります。「掃除を頼みたい」ではなく、本人が生活するどの場所を、なぜ本人だけでは掃除できないかを伝えます

訪問看護は、主治医の指示に基づくサービスです。床ずれ、カテーテル、点滴などへの対応だけでなく、体温・血圧・呼吸・食事量の確認、服薬や家族への療養相談なども候補になります。介護保険と医療保険のどちらを使うかは、病状や制度上の条件で変わるため、主治医、訪問看護事業所、ケアマネジャーへ確認します。

訪問リハビリは、筋力訓練だけを指しません。ベッドからトイレまでの移動、玄関の出入り、食事や着替え、会話や飲み込みなど、家で続けたい生活動作を目標にします。訪問看護から理学療法士等が訪問する形もあるため、事業所名だけでなく、誰が何を行う計画かを見ます。

訪問入浴は、家の浴槽へ移ることが難しいときの選択肢です。訪問介護の入浴介助で自宅の浴槽を使えるのか、通所日に入浴できるのか、持参浴槽による訪問入浴が必要かを比べます。室内の設置場所、ホース経路、当日の体調判断、着替えや処置の範囲を事前に確認します。

1回で複数の課題をすべて解決しようとせず、朝夕の短い介助、週ごとの看護、生活場面でのリハビリのように役割を分けます。曜日と時刻を固定できるか、急なキャンセルや緊急連絡にどう対応するかも事業所選びの条件です。

通所系は入浴・居場所かリハビリかで選ぶ

通所介護は「デイサービス」、通所リハビリテーションは「デイケア」とも呼ばれます。どちらも施設へ通いますが、中心となる目的が異なります。

通所介護は、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練、社会的孤立感の解消、家族の介護負担軽減などを目的とします。一方、通所リハビリテーションは、介護老人保健施設、病院、診療所などへ通い、心身機能の維持回復や生活の自立に向けたリハビリを行います。

比べる項目 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア)
中心となる目的 日中の生活支援、入浴・食事、交流、家族負担の軽減 医師の指示に基づくリハビリ、心身機能・生活動作の維持回復
主な職種 介護職員、看護職員、生活相談員、機能訓練指導員など 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護・看護職員など
選ぶ場面 日中を安全に過ごし、入浴や交流も確保したい 退院後などに具体的なリハビリ目標へ取り組みたい
確認点 入浴方法、滞在時間、活動内容、静養場所、送迎 リハビリ職種、個別対応の時間、目標、見直し時期、送迎

名称だけでは、実際の一日や個別訓練の量は分かりません。デイサービスでも機能訓練を行う事業所があり、デイケアでも食事や入浴を提供する場合があります。見学時は一日の予定表と職員体制を見て、本人が必要とする支援がどの時間に誰から受けられるかを確認します

送迎も重要です。玄関までか居室までか、階段介助に対応するか、車いすのまま乗れるか、家族不在で送り出し・迎え入れができるかを尋ねます。食費、おむつ代、趣味活動の材料費などは介護保険の利用者負担とは別になることがあります。

本人が通所を拒むときは、「人付き合いが苦手」と決めつけず、長時間で疲れる、入浴方法が不安、送迎車が苦手、認知症による環境変化が負担などの理由を探ります。短時間利用、少人数の事業所、見学や体験利用が可能かをケアマネジャーへ相談します。

短期入所と福祉用具で介護を続けやすくする

短期入所と住環境の支援は、家族が介護を続けるための土台になります。問題が深刻になってから探すより、使う条件と相談先を先に把握しておきます。

ショートステイは家族が休む予定にも使う

福祉医療機構の案内では、短期入所生活介護は、施設に短期間入所して食事・入浴・排泄の介護や機能訓練などを受けるサービスです。家族の病気、冠婚葬祭、出張だけでなく、家族が自分の時間を持ち、介護負担を軽くする目的も示されています。

介護者が倒れるまで利用を控える必要はありません。睡眠不足が続く時期、遠方への用事、きょうだいと休みを調整する期間などを候補にします。短期入所生活介護のほか、医療・リハビリの必要性が高い人向けの短期入所療養介護があります。

ただし、希望日に利用できるとは限りません。福祉医療機構のケアマネジャー実務資料にも、申し込んだショートステイが満床で受け入れられず、再調整する場面が示されています。予定が分かったら早めに希望日を伝え、第2候補の日程と別施設、在宅サービスで補う案も用意します

初回利用までに、服薬、認知症の症状、夜間の様子、食事形態、医療処置、感染症、送迎範囲などの確認が必要です。急な利用に備えるなら、ケアマネジャーと相談し、候補施設の受け入れ条件と必要書類を平時に確認します。

基本サービス費の1〜3割に加え、食費、滞在費、理美容代、日用品などが別にかかる場合があります。福祉医療機構が掲載する利用料も、居室、要介護度、事業所所在地、サービス体制などで変わる目安です。個別の月額は、利用日数と保険外費用を含む見込みで確認します。

福祉用具は貸与と販売を使い分ける

厚生労働省の案内では、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえなどが福祉用具貸与の対象です。貸与なら、身体状態の変化に合わせて交換や返却を検討できます。

一方、腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具部分など、肌に触れるものを含む対象品は特定福祉用具販売として購入します。固定用スロープ、歩行器の一部、単点杖・多点杖の一部は、2024年4月から貸与と販売を選べる対象になりました。

貸与価格や自己負担は、商品、地域区分、負担割合などで変わります。販売は都道府県等の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入し、自治体へ支給申請する流れを確認します。通信販売などで先に買うと給付対象にならない場合があるため、購入前にケアマネジャーと福祉用具専門相談員へ相談します。

用具は「置けるか」だけでなく、本人が安全に使えるかを確認します。ベッドの高さ、手すりを握る位置、車いすの幅、介助者が動ける空間、床材との相性を見ます。試用できるか、搬入・回収、故障時対応、定期点検、月途中の料金も尋ねます。

住宅改修は着工前に申請する

介護保険の対象となる住宅改修には、手すりの取り付け、段差解消、滑りにくい床材への変更、引き戸等への扉の取り替え、洋式便器等への取り替えなどがあります。ケアマネジャー等が必要な理由書を作り、施工前と施工後に自治体へ申請します。

住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。厚生労働省の通知が示す20万円は工事費の一律な相場ではなく、保険給付を計算する基準額です。20万円の対象工事なら、1割負担者への保険給付は通常18万円です。2割・3割負担の場合や対象外工事、20万円を超える部分は負担が増えます。

原則として同じ住宅で過去に使った額が20万円から差し引かれますが、転居や要介護状態が著しく重くなった場合には例外があります。自治体独自の助成がある場合も含め、工事契約や着工の前に、残額、対象工事、申請順序を市区町村へ確認します

利用限度と複合サービスをケアプランで調整する

要介護1〜5で自宅のサービスを使う場合、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、本人と家族の希望、心身状態、生活環境を把握してケアプランを作ります。厚生労働省の案内では、ケアプラン作成の利用者負担はありません。

要支援1・2では、地域包括支援センター等が介護予防ケアプランを担当します。まだ担当者がいない場合は、市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターへ連絡します。ケアプランはサービスを割り当てる表ではなく、本人がどの生活を続けたいか、そのために誰が何を担うかを整理する計画です。

区分支給限度基準額を超える分は全額自己負担

訪問介護、通所介護などには、要介護度に応じて1か月に介護保険を適用できる「区分支給限度基準額」があります。通常は対象サービス費の1〜3割を本人が負担しますが、限度額を超えたサービス費は超えた部分が全額自己負担です

限度額は、本人が必要とするサービスを禁止する線ではありません。超えて利用する選択はできますが、家計への影響が大きくなるため、追加するサービスの目的を確かめます。加算、地域区分、事業所、回数、時間で単位数は変わります。食費、滞在費、日常生活費など、もともと限度額の管理外となる費用もあります。

ケアマネジャーには、次の内容を月単位で示してもらいます。

  • 各サービスの回数、時間、単位数と自己負担見込み
  • 区分支給限度基準額までの残り
  • 限度を超える場合の全額自己負担分
  • 食費、滞在費、日用品など保険外費用
  • 休んだ場合のキャンセル料と振替の可否

予算だけで削ると、安全や家族の就労に影響することがあります。「朝の排泄介助は外せない」「入浴は通所へまとめられる」「家族の出張月だけ短期入所を増やす」のように優先順位を共有します。介護度と状態が合わなくなったときは、区分変更申請が必要かも相談します。

複数のサービス調整が難しいときの選択肢

小規模多機能型居宅介護は、同じ事業所への「通い」を中心に、「訪問」と「宿泊」を柔軟に組み合わせる地域密着型サービスです。予定変更が多い、認知症があり顔なじみの職員に支えてほしい、通所と宿泊を別々に調整しにくい場合の候補になります。

ただし、登録制で定員があり、利用中は併用できない居宅サービスがあります。担当するケアマネジャーも小規模多機能型の事業所側へ変わります。現在の訪問看護や通所介護を続けられるか、月額費用、宿泊費・食費、宿泊枠を確認してから切り替えます。医療ニーズも高い場合は、看護小規模多機能型居宅介護も相談先になります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な巡回と随時通報への対応を行い、訪問介護員と看護師等が連携する地域密着型サービスです。1日に複数回の短い支援が必要、夜間も不安がある、介護と看護を連携させたい場合に検討します。

どちらも原則として住んでいる市区町村の事業所を利用する地域密着型サービスで、地域によって事業所の有無や受け入れ状況が異なります。単独サービスを足し続けるより一体的な支援が合うかを、現在のサービスとの併用制限も含めて比較します

行き詰まったときの相談先と最終確認

相談先には、「何か使えますか」だけでなく、一番困る時刻、本人ができること、家族が対応できない曜日、医療処置、月の予算を伝えます。認定前と認定後、サービス利用中では窓口が異なります。

相談先 相談する内容 手元に置くもの
市区町村の介護保険窓口 要介護認定、負担割合、住宅改修・福祉用具購入の申請 介護保険証、負担割合証、本人情報
地域包括支援センター 認定前の総合相談、要支援のケアプラン、地域の支援 困る場面の記録、既往歴、家族の連絡先
居宅介護支援事業所のケアマネジャー 要介護のケアプラン、事業所調整、費用見込み 一日の生活、服薬、通院、希望曜日、予算
主治医・訪問看護事業所 病状、医療処置、訪問看護、リハビリの指示・連携 お薬手帳、退院時資料、症状の記録
福祉用具専門相談員 用具選定、試用、適合、点検、貸与・購入の比較 身長・体重、家の寸法、動作の困りごと

最終的には、本人が続けたい生活、家族が担える範囲、医療上外せない支援を一枚にまとめます。そのうえで、4系統のどれが不足を埋めるか、支給限度内の自己負担と保険外費用はいくらか、希望日に利用できない場合の代替案があるかを確認します。家族の休息と睡眠も、ケアプランに伝える必要のある介護上の条件です

よくある疑問

よくある質問

要介護認定が出る前でも在宅介護サービスを相談できますか?

市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターには、認定申請前から相談できます。急いで支援が必要な場合は、認定結果前の暫定ケアプランで利用できることもありますが、認定結果によって自己負担が生じる可能性があるため、自治体とケアマネジャーへ条件を確認してください。

訪問介護で家族の食事や部屋の掃除も頼めますか?

訪問介護の生活援助は、原則として利用者本人の生活を支えるための調理、洗濯、掃除、買い物などです。家族分の家事や大掃除などは介護保険の対象外になることがあるため、依頼したい作業を分けてケアマネジャーへ確認します。

デイサービスとデイケアは両方利用できますか?

本人の目標と必要性がケアプランに位置づけられ、支給限度の範囲に収まるなどの条件を満たせば組み合わせを検討できます。役割が重なる部分もあるため、入浴や交流を優先する日と、専門的なリハビリを優先する日を分ける必要があるかを確認します。

ショートステイは急に必要になっても利用できますか?

空床と受け入れ条件が合えば利用できる場合がありますが、希望日に満床となることもあります。介護者の出張や入院など予定が分かった時点でケアマネジャーへ伝え、緊急時に相談する施設と代替手段も決めておきます。

次の一歩

次に確認すること

判断を進める前に、地域の公的な窓口で使える制度と相談先を確認してください。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 厚生労働省「公表されている介護サービスについて」(2026年7月26日確認)
  2. 厚生労働省「介護保険の解説 サービス編」(2026年7月26日確認)
  3. 厚生労働省「居宅介護支援」(2026年7月26日確認)
  4. 厚生労働省「通所介護(デイサービス)」(2026年7月26日確認)
  5. 厚生労働省「通所リハビリテーション(デイケア)」(2026年7月26日確認)
  6. 福祉医療機構「短期入所生活介護(ショートステイ)」(2026年7月26日確認)
  7. 福祉医療機構「ケアマネジャーの1か月の業務」(2026年7月26日確認)
  8. 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」(2026年7月26日確認)
  9. 厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(2026年7月26日確認)
  10. 厚生労働省「概算料金の試算」(2026年7月26日確認)
  11. 厚生労働省「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(2026年7月26日確認)