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リースバックの注意点は?売却価格・家賃・いつまで住めるかの確認方法

親が自宅を離れずに資金を用意したいと考えると、リースバックが家族に合うのか迷いますよね。売却価格だけで決めず、毎月の家賃と改定条件、普通借家か定期借家か、希望する年数を住める条件かを一組で確認し、通常売却や融資などとも比べて判断します。

目次
  1. 結論 売却価格・家賃・契約期間を一組で比べる
  2. 売却後は所有者ではなく借主になる
  3. 売却価格は通常売却の査定と並べて見る
  4. 家賃は周辺相場と将来の改定条件まで確認する
  5. 普通借家か定期借家かで居住できる期間を読む
  6. 買戻し・解約・勧誘は口約束で判断しない
  7. 親本人の意思を確認して他の方法とも比べる
  8. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 自宅を売却して借り直すリースバックの仕組み
  • 売却価格と周辺の取引価格を比べる方法
  • 家賃の改定条件と長期収支の確認方法
  • 普通借家・定期借家、買戻し、解約の注意点

結論 売却価格・家賃・契約期間を一組で比べる

リースバックは、自宅を売って終わる取引ではありません。自宅の売買契約と、その後に住むための賃貸借契約を組み合わせます。売却代金が入る一方、所有権は買主へ移り、親は家賃を払う借主になります。

「いくら受け取れるか」「毎月いくら払うか」「いつまで住めるか」の3点を、別々ではなく一組で判断します。一つでも親の希望や将来の収支に合わなければ、署名や押印を保留し、条件の変更や別の方法を検討します。

  1. 親が必要とする資金と時期を言葉にする
    必要額、使い道、資金が必要な日、実家に住みたい年数、将来の転居先を親本人へ確認します。
  2. 土地・建物の所有者と権利を確認する
    登記事項証明書で名義、共有者、抵当権を見ます。契約する本人と、同居を続ける家族も分けて整理します。
  3. 通常売却とリースバックの価格を並べる
    複数の査定を取り、通常売却ならいくらか、リースバックならいくらか、査定の根拠と費用を書面でもらいます。
  4. 家賃と将来の収支を年ごとに計算する
    家賃、共益費、更新・再契約費、保険、修繕負担を加え、収入が減る場合も置いて支払いを続けられるか見ます。
  5. 普通借家か定期借家かを確認する
    契約期間、更新か再契約か、中途解約、貸主が変わった場合の扱いを読み、希望年数とのずれを確認します。
  6. 親本人と家族が同席して最終説明を受ける
    売買契約書と賃貸借契約書を事前に受け取り、疑問への回答を残します。その場で決めず、必要に応じて公的窓口や専門家へ相談します。

国民生活センターの2025年の注意喚起では、2024年度の相談が234件あり、年代が分かる契約当事者の約7割は70歳以上でした。長時間の勧誘、相場より安い売却、家賃の値上げ、判断能力が低下した親の契約などが相談例として挙げられています。

売却後は所有者ではなく借主になる

国土交通省のガイドブックは、住宅を売却して現金を得た後、毎月の賃料を払い、同じ住宅に住むサービスと説明しています。決済と所有権移転登記が終われば、自宅は買主の所有です。

固定資産税など所有に伴う負担がなくなる一方、家賃の支払いが始まります。設備の交換やリフォームなどに貸主の承諾が必要になる場合もあります。

確認する項目 売却前との違い 契約書で見る場所
所有権 親から買主へ移る 売買代金、決済日、所有権移転日、引渡し
居住の根拠 所有権ではなく賃借権になる 賃貸借の種類、期間、使用目的、同居人
毎月の負担 家賃、共益費などが発生する 支払日、支払方法、遅延損害金、改定
修繕・設備 自由に直せるとは限らない 貸主と借主の修繕分担、承諾が必要な工事
退去時 明渡しと原状回復が生じる 中途解約、契約終了、原状回復、残置物
貸主の変更 買主が第三者へ売る場合がある 地位や特約の承継、通知、賃料の支払先

売買代金から住宅ローン残高、抵当権抹消費用、仲介手数料などを差し引いた手取りも確認します。税の扱いは取得時期や特例の要件で変わるため、税務署や税理士へ資料を見せます。

修繕は「貸主負担」と口頭で聞くだけでなく、設備ごとの負担と連絡手順を見ます。介護用の手すりや段差解消工事ができるかも聞きます。

住み慣れた家で同じ生活が続くのではなく、同じ建物を借りる生活へ変わる取引です。親がこの変化を自分の言葉で説明できるかを、家族が同席して確認します。

売却価格は通常売却の査定と並べて見る

リースバックの売却価格は、市場で買主を探す通常売却より低くなる場合があります。国民生活センターも、物件相場より低くなることがあると案内しています。ただし、公的資料は一律の割引率を示していません。

所在地、築年、状態、土地、接道、賃貸期間、家賃などで提示額は変わります。一律の割合で決めず、同じ物件を同じ時点で比べます。

比べる項目 確認する内容 メモに残すこと
通常売却の査定 仲介での査定、買取での査定、想定する売却期間 査定額、根拠となる成約事例、売出価格との違い
リースバック価格 買主が提示する価格と算定根拠 賃貸期間や家賃を変えた場合の価格
手取り ローン返済、抵当権抹消、仲介、登記、税など 決済日に残る見込み額、支払時期
引渡し 通常売却で退去を待てる期間 決済日、明渡し日、違約金、残置物
建物状態 契約不適合責任や告知の扱い 雨漏り、修繕履歴、免責の範囲

不動産情報ライブラリでは、取引当事者へのアンケート等に基づく取引価格情報を確認できます。ただし、面積や前面道路、取引事情などで価格は変わります。

査定は、地域の通常売却を扱う事業者にも依頼します。通常売却の想定成約価格と期間を尋ね、査定書では比較した成約事例と補正理由を聞きます。

売却価格と家賃が連動する提案もあります。受取額だけで判断せず、希望する居住年数までの家賃総額を差し引いて比べます。

売却価格の判断材料は、提示額の大きさではなく、通常売却との差、その理由、家賃を払った後の手残りです。査定の有効期限も確認し、契約を急ぐ理由と価格の根拠を分けて考えます。

家賃は周辺相場と将来の改定条件まで確認する

リースバックの家賃は、売却前にはなかった継続支出です。現在の年金や給与で払えるかだけでなく、配偶者が亡くなって世帯収入が変わる場合、介護費や医療費が増える場合も含めて見ます。

まず、同じ地域で広さ、築年、駅距離、建物種別が近い賃貸募集を複数確認します。地域の不動産会社にも聞き、提示家賃が周辺相場と違う理由を事業者へ尋ねます。

家賃の論点 契約前に確認する内容 家計表へ入れる内容
当初家賃 月額、共益費、保証料、支払日 毎月の住居費
改定 改定できる時期、理由、算定方法、通知 増額した場合の年額
更新・再契約 新しい家賃、更新料、再契約料の決め方 契約の節目に払う額
滞納 督促、遅延損害金、保証会社、解除条件 収入が途切れたときの対応
修繕・保険 借主負担の小修繕、火災保険など 毎年・臨時の支出
退去 中途解約予告、原状回復、残置物 転居費と重なる月の支出

借地借家法第32条では、租税などの負担、経済事情、近傍同種の賃料との比較により不相当となったとき、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求できると定めています。一方、一定期間は増額しない特約があるときは、その定めが関係します。

「家賃は変わりません」という説明を受けたら、契約期間中、更新時、再契約時のどこまでを指すのかを書面で確認します。改定の算定方法と通知時期も尋ねます。

資金表は年単位で作ります。売却代金の手取り、収入、生活費、家賃、介護・医療、転居費を置き、家賃増額時と世帯収入減少時も計算します。

売却代金を家賃の原資にする場合は、生活費に使う分を分け、契約終了時の転居資金も残します。

払える家賃は、契約時の残高ではなく、収入が減った後も生活費と転居費を残せるかで決めます。家族が援助する想定なら、金額、期間、誰が負担するかを曖昧にしません。

普通借家か定期借家かで居住できる期間を読む

「そのまま住めます」という説明だけでは、いつまで住めるか分かりません。賃貸借契約が普通借家か定期借家か、契約期間が何年か、期間後が更新か再契約かを確認します。

借地借家法第26条・第28条による普通借家では、貸主が更新を拒絶するには正当事由が必要です。家賃滞納など契約違反があれば別ですが、期間が来ただけで貸主が自由に更新を拒める仕組みではありません。

定期借家は同法第38条に基づき、更新がなく、定めた期間の満了で終了します。貸主と借主が合意すれば再契約できますが、再契約の成立は契約時点では決まっていません。国土交通省のQ&Aも、双方が合意すれば再契約できると説明しています。

項目 普通借家 定期借家
期間後 更新が基本。貸主の更新拒絶には正当事由が必要 更新はなく、期間満了で終了
住み続ける方法 更新後も賃貸借を継続 貸主と借主が新たに再契約
契約方法 法律上は口頭もあり得るが、書面で条件を確認 書面または電磁的記録で契約し、更新がない旨の事前説明が必要
確認する言葉 更新、更新拒絶、解約、正当事由 契約終了日、再契約、再契約時の家賃・審査
家族の判断 希望年数と家計の継続性 満了日に転居できるか、再契約できない場合の行き先

定期借家の契約書では、始期と終期を日付で見ます。「再契約可能」「長期居住を想定」という表示があっても、再契約を断れる条件、再審査、家賃、再契約料が未定なら、現在の契約期間を超えて住めるとは扱いません。

普通借家でも、契約違反があっても住み続けられるという意味ではありません。住宅が第三者へ売却された場合の通知と、賃貸借上の地位の扱いも確認します。

「できるだけ長く住みたい」という希望は年数へ置き換えます。要介護時や配偶者が一人残る場合も想定します。同居配偶者が借主ではない場合、契約者の死亡後の居住は専門家へ確認します。

定期借家の「再契約を予定」は、現在の契約の更新ではありません。親が住みたい期間を覆う契約か、満了時に転居する前提の契約かを家族で同じ言葉にします。

買戻し・解約・勧誘は口約束で判断しない

リースバックでは、「将来買い戻せる」と説明されることがあります。しかし、買戻しは自動的に付く権利ではありません。売買契約と特約に、価格、期限、手続きなどが定められているかを確認します。

確認する項目 契約書で見る内容 見落とした場合の影響
買戻し価格 金額または算定式、税・登記・手数料 想定より資金が必要になる
申出期限 いつからいつまで、通知方法、到達期限 期限後は申し出られない
前提条件 家賃滞納、契約違反、再契約との関係 条件を満たさず買い戻せない
第三者への売却 特約を新所有者へ承継する義務 貸主変更後に扱いが変わる
資金計画 誰が買うか、融資の可否、諸費用 価格が決まっても支払えない

国土交通省の検討会資料は、買戻し価格の算定方法、払える条件か、申出期限、第三者へ売却するときの条項承継を確認するよう案内しています。「担当者が前向きに検討する」と話しただけなのか、契約上の義務なのかを分けます。

クーリング・オフも、リースバックという呼び名だけで判断しません。中心となる自宅の売買では、親が売主、事業者が買主です。宅地建物取引業法第37条の2のクーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となり、宅建業者ではない人が買主となる場面を対象とします。親が不動産業者へ自宅を売る契約には、この制度は適用されません。

一方、設備工事や生活支援など別の契約を同時に結んでいる場合、その契約のクーリング・オフは契約の種類、当事者、勧誘方法などで扱いが変わります。別契約を解除できても、自宅の売買まで同時に解除されるとは限りません。契約書を名前ごとに分けて相談します。

クーリング・オフが使えないことと、どの事情でも契約を争えないことは同じではありません。消費者契約法は、不当な勧誘による取消しなどを定めています。不実の説明、帰ってほしいと伝えた後の居座り、判断能力への疑問などがある場合は、適用を自分で決めず、記録を保全して相談します。

違約金は、手付解除ができる時期、額または算定方法、決済前後の違いを確認します。意味が分からない書類には署名しません。

勧誘中は事業者名、来訪日時、説明、資料を残し、「今日は契約しない。家族と確認する」と伝えます。断った後も勧誘が続く場合は、一人で対応を続けません。

親本人の意思を確認して他の方法とも比べる

自宅の所有者が親なら、資金が必要な理由と住み続けたい気持ちを、親本人から確認します。家族が良いと思う方法へ誘導せず、「売った後は借家になる」「家賃が続く」「契約期間が終わる場合がある」を一つずつ説明します。

国土交通省の検討会資料は、理解力や知識に不安がある場合、家族や親族が説明に同席する方法を挙げています。国民生活センターも、高齢者本人だけでなく家族等が契約を確認し、理解と納得を得るよう事業者団体へ要望しています。

同席は親の代わりに返事をするためではなく、親の希望と理解を確かめ、回答を記録するためです。売却と借入れを混同するなどの状態が見られたら、契約を止めて医療・福祉・法律の相談先につなぎます。

比較する方法には、通常売却後に住み替える、通常売却で決済・引渡し時期を調整する、不動産担保ローン、リバースモーゲージなどがあります。自宅に住み続けること、所有権、毎月の負担、資金使途、年齢、地域、物件評価の条件がそれぞれ異なります。

住宅金融支援機構のリ・バース60は、満60歳以上向けのリバースモーゲージ型住宅ローンです。毎月は利息を支払い、元金は死亡時に返す仕組みで、資金使途や審査の条件があります。

方法 所有権と居住 主に確認すること
リースバック 所有権を手放し、家賃を払って住む 売却価格、家賃、借家の種類、期間
通常売却して住み替え 所有権を手放し、別の住まいへ移る 売却手取り、転居先、引渡し時期、生活動線
通常売却で引渡しを調整 所有権移転と退去の時期を契約で調整 買主の合意、期限、違約金、仮住まい
リバースモーゲージ等 自宅を担保に融資を受ける 資金使途、金利、返済、担保評価、相続時の扱い

優劣は、資金の使い道、親が住みたい期間、家計、相続への考え方で変わります。融資には審査があり、各方法で確認条件が異なります。

比較表の目的は一番良い方法を決めつけることではなく、親が守りたい条件を満たさない案を外すことです。各方法について、受取額、毎月負担、所有権、住める期限、やめる条件を一行ずつ書きます。

行き詰まったときの相談先と最終確認

署名後でも相談できます。契約書、査定書、広告、録音、メール、名刺、登記事項証明書、住宅ローン残高が分かる資料をそろえます。

相談先 相談する内容 先に伝えること
消費者ホットライン188 強引な勧誘、説明との違い、解約、違約金、家賃改定 契約日、勧誘経路、親の状況、契約書と説明の違い
自治体の宅建業担当・国土交通省の検索窓口 宅建業者の免許、宅建業法上の勧誘や取引の相談先 事業者名、免許番号、所在地、担当者、行為の記録
弁護士・法テラス等 売買・賃貸借・買戻し、取消し、解約、意思能力 契約書一式、時系列、録音、診療や介護の記録
司法書士 所有者、共有、抵当権、登記、売却権限 登記事項証明書、親族関係、ローン、委任状
税務署・税理士 譲渡所得、居住用財産の特例、取得費 売買価格、取得時資料、居住状況、必要経費
地域包括支援センター 親の見守り、生活状況、判断への不安、家族支援 最近の変化、勧誘者の出入り、契約予定日

最終確認では、①親本人が売却と賃貸の二つの契約を理解しているか、②通常売却との差と売却価格の根拠、③家賃と改定条件、④普通借家か定期借家か、⑤希望年数を住めるか、⑥買戻し・解約・修繕の条件、⑦同居家族の暮らし、⑧別の方法との比較を一枚にまとめます。回答が口頭だけの項目や空欄が残る場合は、契約日を先に決めず、書面がそろってから判断します。

よくある疑問

よくある質問

リースバックなら親は亡くなるまで自宅に住めますか?

契約の名称だけでは判断できません。普通借家か定期借家か、契約期間、更新または再契約の条件、家賃を払い続けられるかを確認します。定期借家は期間満了で終了し、再契約には貸主と借主の合意が必要です。

リースバックの売却価格は通常の売却より安くなりますか?

国民生活センターは物件相場より低くなる場合があると案内しています。一律の差ではないため、同じ物件について通常売却の査定も取り、近隣の取引情報、引渡し時期、契約費用をそろえて比べます。

契約後に家賃が上がることはありますか?

契約書の改定条項に加え、借地借家法第32条の借賃増減請求権が関係します。改定時期、算定方法、一定期間増額しない特約の有無、更新・再契約時の扱いを書面で確認します。

訪問勧誘で契約したリースバックはクーリング・オフできますか?

親が売主となり不動産業者へ自宅を売る契約には、宅地建物取引業法のクーリング・オフは適用されません。ただし、不当な勧誘による取消しなど別の論点や、同時に結んだ別契約の扱いは個別事情で変わります。契約書一式をそろえて消費生活センターや弁護士へ早めに相談してください。

売却後に自宅を買い戻せますか?

買戻しは契約で定めた場合の条件付きの扱いです。価格または算定方法、申出期限、家賃滞納時の扱い、第三者へ売却された場合の承継、諸費用を契約書で確認します。将来検討するという説明だけで判断しないようにします。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」(2026年7月26日確認)
  2. 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブックの作成に際しての検討会での検討内容について」(2026年7月26日確認)
  3. 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」(2026年7月26日確認)
  4. 消費者庁「リースバック 体験型教材」(2026年7月26日確認)
  5. e-Gov法令検索「借地借家法」(2026年7月26日確認)
  6. 国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(2026年7月26日確認)
  7. e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(2026年7月26日確認)
  8. 消費者庁「消費者契約法」(2026年7月26日確認)
  9. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2026年7月26日確認)
  10. 住宅金融支援機構「リ・バース60 Q&A」(2026年7月26日確認)
  11. 消費者庁「消費者ホットライン」(2026年7月26日確認)