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リースバックとリバースモーゲージの違いは?所有権・住み続ける条件・向き不向き

親が住み慣れた家を使って資金を確保するとき、売る方法と借りる方法のどちらがよいか迷いますよね。リースバックは自宅を売って借主になり、リバースモーゲージは所有権を残したまま自宅を担保に借りるため、手元資金だけでなく毎月の支払い、居住終了条件、死亡後の返済まで一組で比べます。

目次
  1. 結論 所有権と毎月の支払いから比べる
  2. 仕組みと所有権の違いを契約書で確かめる
  3. 住み続けられる条件は契約終了まで確認する
  4. 毎月の支払いと死亡後の出口を同じ年数で試算する
  5. 向き不向きは親の希望と相続方針で分ける
  6. トラブル事例は契約前の質問へ置き換える
  7. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 売却と担保融資という仕組みの違い
  • 所有権と住み続けられる条件の違い
  • 家賃・利息と死亡後の返済の確認方法
  • 親と家族の希望別の向き不向き

結論 所有権と毎月の支払いから比べる

二つは「自宅に住みながら資金を得る」という見え方が似ています。しかし、契約の土台は別です。リースバックは自宅を売却し、買主から借りて住みます。リバースモーゲージは自宅を担保に金融機関から借ります。

最初に決めるのは受取額の大きさではなく、家を売るか、借入れを残すかです

比較項目 リースバック リバースモーゲージ
契約の中心 不動産売買契約と賃貸借契約 金銭消費貸借契約と抵当権設定
所有権 売却時に買主へ移る 返済前は借入人側に残る
資金の受け方 売却代金を受け取る 一括・分割など商品条件に沿って借りる
毎月の負担 家賃と賃貸借契約上の費用 利息。利息を残高へ組み入れる商品もある
住む立場 借主 所有者兼借入人
主な居住終了要因 賃貸借の終了、家賃滞納、契約違反 一括返済事由、延滞、死亡後の担保処分
死亡後の家 すでに売却済みで相続財産ではない 返済方法により相続人が残すか売却する
審査 買取りと賃貸の各条件を事業者が判断 年齢、担保評価、地域、収入等を金融機関が審査

比較は次の順で進めます。

  1. 必要な資金と時期を分ける
    生活費、介護費、住宅改修、施設入居一時金など、目的、必要時期、概算額を親と確認します。
  2. 家を残す希望を確認する
    親が所有権を持ち続けたいか、配偶者や子が将来住むか、売却してよいかを一人ずつ聞きます。
  3. 毎月払える額を家計から出す
    年金などの定期収入から生活費、医療・介護の予備費を引き、家賃または利息へ回せる額を出します。
  4. 居住終了条件を読む
    賃貸借の期間・更新・再契約と、融資の期限の利益喪失・転居・死亡後の扱いを別々に確認します。
  5. 配偶者と相続人の出口を決める
    契約者が先に亡くなった場合の居住、残債務、売却担当、明渡し期限を家族で共有します。
  6. 同じ前提で書面を比べる
    希望居住年数、金利上昇、家賃改定、死亡時点をそろえ、複数の事業者・金融機関へ試算を依頼します。

自宅以外の預貯金、保険、負債が分からないままでは、必要な借入額を決めにくくなります。先に親の財産を把握する順番で、所在と毎月の収支を一覧にできます。

仕組みと所有権の違いを契約書で確かめる

国土交通省のガイドブックは、リースバックを、自宅を売却して現金を得た後、毎月賃料を払いながら同じ住宅に住むサービスと説明しています。売買と賃貸借は別の契約です。売却代金を受け取った時点から、住む人は所有者ではなく借主になります。

借主になると、固定資産税など所有に伴う負担は原則として新しい所有者側へ移ります。一方、設備の設置、改修、ペット、同居、転貸などは賃貸借契約の制限を受けます。修繕を貸主と借主のどちらが負担するかも、以前と同じとは限りません。

リースバックの売却価格、家賃、普通借家・定期借家、買戻しの確認は、リースバックの仕組みと注意点で詳しく整理しています。今回の比較では、その確認結果をリバースモーゲージの融資条件と並べます。

国民生活センターは、リバースモーゲージを、自宅を担保に金融機関からお金を借り、一般には契約者の死亡後に自宅を売却して残債を一括返済する仕組みと説明しています。

抵当権は、家の占有を金融機関へ移さず、債権者がその不動産から優先的に弁済を受けるための権利です。根拠は民法第369条です。借入人は所有者のままですが、自由に売却できるという意味ではありません。売却して抵当権を抹消するには、残債務を完済するなど金融機関との調整が必要です。

所有者として、固定資産税、火災保険、修繕や管理の負担も続きます。マンションなら管理費、修繕積立金も家計に残ります。「家賃がない」だけで毎月負担が小さいとは決められません。

住み続けられる条件は契約終了まで確認する

「住み続けられる」は、二つの方法で意味が違います。広告の一文ではなく、誰が、いつまで、何を支払えば住めるかを契約条項へ置き換えます。

リースバックは賃貸借の種類を見る

普通借家と定期借家では、期間満了時の扱いが違います。定期建物賃貸借は、借地借家法第38条により更新がなく、期間満了で終了します。国土交通省のQ&Aは、期間後も住むには貸主と借主が合意して再契約する必要があると説明しています。

事業者が「再契約する予定」と話していても、将来の合意まで決まったとは限りません。契約期間、更新または再契約、貸主が変わった場合の扱い、家賃滞納時の解除、契約者死亡時の同居家族の扱いを確認します。

普通借家でも、家賃を払わなくてよいわけではありません。希望する居住年数分について、家賃、改定条項、更新料などを家計表へ入れます。

リバースモーゲージは一括返済になる条件を見る

リバースモーゲージでは、自宅を所有していることと、同じ条件で終身住めることを分けます。利息の延滞、契約違反、担保物件の無断処分などがあれば、契約途中で一括返済を求められる場合があります。

住宅金融支援機構のリ・バース60 Q&Aでは、毎月の支払いの延滞が解消しない場合、残債務の一括返済を請求すると案内しています。転居や長期入院で住めなくなった場合は、契約中の金融機関へ相談する扱いです。

これはリ・バース60の例です。一般のリバースモーゲージは、資金使途、支払方法、担保評価の見直し、対象地域、同居人、転居時の扱いが商品ごとに異なります。「終身」という表示だけでなく、終身扱いから外れる条件を読みます

契約者より配偶者が長生きする場合を見る

契約者本人が住める条件だけでは、夫婦の計画として足りません。配偶者が共同契約者・連帯債務者になれるか、年齢や持分の要件を満たすかを確認します。

リ・バース60では、連帯債務者ではない配偶者が居住を希望する場合、契約者死亡から3年間は物件処分を留保します。ただし、その間に一括返済できなければ、留保期間後は退去して物件を処分する扱いです。この3年は同商品の例であり、ほかの商品へ一律には当てはまりません。

確認する場面 リースバックで読む書類 リバースモーゲージで読む書類
契約中 賃貸借契約書、重要事項説明書 金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書
支払いが難しい 滞納時の解除、猶予、保証会社の条項 期限の利益喪失、遅延損害金、一括返済条項
親が転居する 中途解約、違約金、原状回復 転居・長期入院、繰上返済、担保処分
親が亡くなる 賃借権、同居家族、原状回復 相続人への通知、返済期限、売却方法
配偶者が残る 契約承継または新規契約の条件 連帯債務者か、居住猶予、借換えの条件

毎月の支払いと死亡後の出口を同じ年数で試算する

リースバックは売却代金が入り、その後は家賃を払います。リバースモーゲージは借入金が入り、商品に応じて利息を払います。入口の受取額だけを比べると、後の負担を見落とします。

金額は全国共通の掲載目安を置けません。物件の所在地、築年、担保評価、親の年齢、希望額、契約期間、金利、家賃で変わります。2026年7月時点の各社の正式な書面見積もりと返済予定表を使います。

試算は、親が希望する居住年数を5年、10年など複数に分けます。金額を決め打ちするためではなく、長く住んだ場合に家計が持つかを見るためです。

試算項目 リースバック リバースモーゲージ
最初に入る資金 売却代金から諸費用等を引いた手取り 融資額から手数料等を引いた受取額
毎月の支払い 家賃、管理費等の契約上の負担 利息、管理費・修繕積立金等
増える可能性 家賃改定、再契約時の条件変更 変動金利の上昇、利息の残高組入れ
臨時支出 借主負担の修繕、更新・再契約費用 固定資産税、火災保険、所有者の修繕
終了時 引越し、原状回復、家財整理 一括返済、担保売却、明渡し
死亡後 家は相続しない。賃貸借上の精算を確認 残債務、売却余剰、不足分、税務を確認

金融広報中央委員会の解説は、変動金利なら金利上昇で毎月の利息が増えること、長生きすれば利息を払う期間が延びること、商品によっては担保価値下落で融資限度額が見直されることを注意点に挙げています。

一方、住宅金融支援機構のリ・バース60では、担保評価額が下がっても、それを理由に一部繰上返済を請求しないとQ&Aで案内しています。同じ「リバースモーゲージ」でも条件が違う例です。一般論を契約予定の商品へ当てはめず、金利上昇時、評価下落時、長生きした場合の三つの試算を金融機関へ依頼します。

死亡後に担保物件を売っても残債務があるときは、リコース型かノンリコース型かで相続人の負担が変わります。リ・バース60のノンリコース型では相続人は不足分を返済しません。リコース型では不足分の返済が必要です。ノンリコース型で免除された残債務は、一時所得として課税される可能性があると同機構が案内しています。税務署または税理士へ個別に確認します。

反対に売却代金が残債務を上回る場合、リ・バース60では回収額を超えた余剰金を相続人が受け取ります。家を残したい場合は、相続人が残債務を一括返済できるかを確認します。

向き不向きは親の希望と相続方針で分ける

どちらが有利かは、受取額だけでは決まりません。親が重視するものと、家族が担える出口を並べます。

親・家族の希望 比較の出発点 追加で確認すること
所有権を手放しても借金を残したくない リースバックを候補にする 家賃を希望年数払えるか、賃貸借の終了条件
所有権を保ち、将来は子へ残したい リバースモーゲージを候補にする 相続人が残債務を一括返済できるか
生活費へ広く使いたい 資金使途が自由な商品を探す リ・バース60は生活資金に使えない点
住宅改修や住替え資金が必要 両方と通常融資を比較する 対象工事、融資上限、売却手取り
定期収入が少なく毎月負担が不安 どちらも慎重に試算する 家賃滞納・利息延滞時の住まいの確保
契約者死亡後も配偶者が住みたい 配偶者の契約上の地位を優先する 共同契約、年齢要件、猶予期間、返済方法
数年後に施設へ移る予定がある 中途解約しやすさを比べる 違約金、原状回復、繰上返済手数料

リースバックは、売却によってまとまった資金を受け取り、所有に伴う管理から離れたい場合に候補になります。ただし、以後は家賃を払う借主です。長く住むほど家賃総額が増え、契約の種類によっては希望期間を住めない可能性があります。

リバースモーゲージは、所有権を残しながら資金を借りたい場合に候補になります。ただし、借入れなので審査があり、利息と所有者負担が続きます。対象地域、年齢、担保評価、資金使途により利用できない場合があります。

「子が家を残してほしい」と言っても、死亡時に残債務を返せなければ実現しにくくなります。「親は売ってよい」と言っても、家賃負担で生活費が不足すれば居住継続が難しくなります。希望は、返済または家賃の資金計画と一組にします。

通常売却をして引渡し時期を調整する方法や、住替えで住居費を下げる方法もあります。売却の手順と税を比べる場合は、実家売却の流れへ進めます。

トラブル事例は契約前の質問へ置き換える

国民生活センターの2025年5月の注意喚起には、長時間の勧誘、しつこい売却勧誘、家賃値上げ後に払えなくなった事例、認知症の父が相場より非常に安い額で契約していた事例が挙げられています。

この注意喚起はリースバックに関するものです。リバースモーゲージでも、複雑な契約を親本人が理解しているか、家族へ説明できる資料があるかという確認は共通します。

トラブルの兆候 契約前にする質問 残す記録
今日中の契約を求める 持ち帰ると条件が変わる根拠は何か 広告、提案書、日時、担当者
「ずっと住める」とだけ説明する 終了・解除・一括返済になる条件は何か 該当する契約条項
受取額だけを強調する 5年・10年後の家賃または利息総額はいくらか 前提入りの試算表
配偶者の説明がない 契約者が先に死亡したら配偶者はいつまで住めるか 共同契約と死亡後の条項
相続人へ説明しない 家を残す場合の返済額、期限、方法は何か 残債務と売却手順
他社比較を嫌がる 査定・担保評価と条件の根拠は何か 複数社の書面

親本人が疲れている、説明を繰り返し理解できない、事業者を怖がっている場合は、その場で署名や押印を進めません。売却意思や借入意思を家族が代わりに決めるのではなく、親本人の理解と意思を確認します。

リースバックの自宅売却は、訪問勧誘であっても宅地建物取引業法上のクーリングオフを使える契約ではありません。詳しい法的注意点は既存のリースバックの仕組みと注意点へまとめています。署名後に不安が出た場合は、自分だけで解約可否を判断せず、契約書一式を持って早めに相談します。

行き詰まったときの相談先と最終確認

売買、賃貸、融資、相続、税務で相談先が異なります。一つの窓口の説明だけで二つを比べず、契約ごとに確認します。

相談先 相談する内容 用意するもの
複数の宅地建物取引業者 通常売却とリースバックの価格、家賃、契約期間 登記事項、図面、査定書、希望居住年数
複数の金融機関 リバースモーゲージの審査、金利、資金使途、死亡後 収入、既存借入れ、固定資産税資料、家族構成
弁護士・司法書士 売買・賃貸・融資条項、抵当権、相続時の扱い 契約書、説明資料、登記事項、家族の希望
税務署・税理士 売却時の譲渡所得、債務免除益、相続時の税務 取得費資料、査定、融資条件、残債務
J-FLECの相談窓口 家計、老後資金、金融商品の比較の整理 収支表、資産一覧、提案書、質問メモ
消費生活センター 強引な勧誘、説明との違い、解約や違約金 広告、録音、連絡履歴、契約書一式

消費者庁は、消費者ホットライン188から、身近な消費生活センターや相談窓口を案内しています。契約前でも、勧誘が止まらない、急かされている、説明が分からないという段階で相談できます。

最後に、①必要資金と時期、②親の所有権を残す希望、③家賃または利息を払える額、④希望居住年数、⑤配偶者の居住、⑥家を相続したい人、⑦死亡時の残債務と返済方法、⑧契約終了時の転居先を一枚にします。その同じ前提で、リースバックの売買・賃貸条件と、リバースモーゲージの融資・担保条件を比べれば、入口の金額だけに寄らず家族の出口まで判断できます。

よくある疑問

よくある質問

リースバックとリバースモーゲージはどちらも自宅の所有権を失いますか?

リースバックは自宅を売却するため、所有権は買主へ移ります。リバースモーゲージは自宅へ抵当権を設定して借りるため、返済前の所有権は借入人側に残ります。ただし、返済できない場合や死亡後の返済で自宅を売却する可能性があります。

リバースモーゲージなら親は亡くなるまで住み続けられますか?

商品名だけでは判断できません。利息の延滞、転居、長期入院、契約違反などが一括返済の条件になることがあります。契約者より配偶者が長生きした場合の居住条件も商品ごとに異なるため、期限の利益喪失条項と死亡後の扱いを確認します。

リースバックとリバースモーゲージでは毎月何を支払いますか?

リースバックでは借主として家賃や契約で定めた費用を支払います。リバースモーゲージは毎月利息を払う型、利息を借入残高へ組み入れる型などがあり、商品ごとに異なります。現在額だけでなく、家賃改定や金利上昇時の額も書面で試算します。

親の死後も子どもが実家を残せますか?

リースバックでは親の契約時に所有権が買主へ移っているため、家は相続財産になりません。リバースモーゲージでは、相続人が残債務を一括返済できれば家を残せる商品があります。返済できない場合は担保物件を売却するため、希望と資金を契約前に確認します。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」(2026年7月31日確認)
  2. 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」(2026年7月31日確認)
  3. 国民生活センター「リバースモーゲージとは何か」(2026年7月31日確認)
  4. 住宅金融支援機構「リ・バース60」(2026年7月31日確認)
  5. 住宅金融支援機構「リ・バース60 Q&A」(2026年7月31日確認)
  6. 金融広報中央委員会「リバースモーゲージを利用する際の注意点」(2026年7月31日確認)
  7. 国土交通省「定期建物賃貸借 Q&A」(2026年7月31日確認)
  8. e-Gov法令検索「民法」(2026年7月31日確認)
  9. e-Gov法令検索「借地借家法」(2026年7月31日確認)
  10. 消費者庁「消費者ホットライン」(2026年7月31日確認)