墓・葬儀・供養

葬祭費・埋葬料を申請するには?加入保険別の申請先と2年の時効

葬儀後は支払いと各種手続きが重なり、給付の申請まで手が回らないことがありますよね。まず親が死亡時に加入していた健康保険を確認し、国保・後期高齢者の葬祭費か、会社の健康保険の埋葬料・埋葬費かを分け、申請者名と領収書名義、2年の時効の起算日をそろえて提出先へ確認します。

目次
  1. 結論 故人の保険と申請者を先に確認する
  2. 国保と後期高齢者は葬祭を行った人が申請する
  3. 会社の健康保険は埋葬料と埋葬費を分ける
  4. 掲載金額は保険者ごとの案内で確認する
  5. 申請書類は申請者名と領収書名義をそろえる
  6. 2年の時効は給付ごとに起算日を確認する
  7. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 国保・後期高齢者の葬祭費と健保の埋葬料の違い
  • 加入保険ごとの申請者と申請先
  • 公的案内に掲載された支給額の目安
  • 必要書類と2年の時効の起算日

結論 故人の保険と申請者を先に確認する

葬儀に関する健康保険の給付は、葬儀費用そのものを一律に補てんする仕組みではありません。制度によって、給付名、申請できる人、金額、時効の起算日が違います。

国民健康保険と後期高齢者医療では「葬祭費」、会社員などが入る健康保険では「埋葬料」「埋葬費」「家族埋葬料」という名称が使われます。最初に確認するのは故人の年齢だけでなく、死亡日に加入していた保険者です

  1. 死亡時の健康保険を確認する
    資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータル、保険料通知、給与明細などから保険者名を探します。
  2. 葬祭を行った人と費用を支払った人を確認する
    喪主、領収書の宛名、口座名義、生計維持関係を一枚のメモにまとめます。
  3. 加入先に給付名と対象者を尋ねる
    国保・後期高齢者なら市区町村等、健康保険なら協会けんぽ支部や健康保険組合へ確認します。
  4. 支給額と重複の有無を確認する
    自治体・保険者の案内日時点の金額と、退職前の健康保険から受けられる給付がないかを聞きます。
  5. 申請書と添付書類をそろえる
    葬儀・火葬を行ったことが分かる書類、本人確認書類、振込口座などを申請先の案内に合わせます。
  6. 起算日から2年以内に提出する
    死亡日、葬祭日、埋葬日のどれが起算日に関わるかを給付別に確認し、控えを保管します。

葬儀の内容や費用の決め方は、葬儀費用と見積もりの流れで整理しています。家族葬を選ぶ条件は家族葬の選び方へ分け、本記事では健康保険への申請に範囲を絞ります。

健康保険の給付は、生命保険の死亡保険金、自治体の福祉制度、勤務先の弔慰金とは別です。申請書も提出先も異なるため、「葬儀でもらえるお金」とひとまとめにせず、制度名ごとに管理します。

国保と後期高齢者は葬祭を行った人が申請する

国民健康保険法第58条は、被保険者の死亡に関して、保険者が葬祭費の支給または葬祭の給付を行うと定めています。後期高齢者医療も、高齢者の医療の確保に関する法律第86条に同様の定めがあります。

実際の支給額や必要書類は、国保では市区町村や国民健康保険組合、後期高齢者医療では都道府県の広域連合の条例・運用に基づきます。市区町村が申請窓口になっていることが多いものの、故人が住んでいた自治体の案内をそのまま確認する必要があります

加入制度 申請する人の基本 最初の確認先
市区町村の国民健康保険 葬祭を行った人 故人が国保に加入していた市区町村の国保窓口
国民健康保険組合 組合の規約等で定める人 故人が加入していた国民健康保険組合
後期高齢者医療 葬祭を行った人 故人の住所地の市区町村にある後期高齢者医療窓口、または広域連合

「相続人」と「葬祭を行った人」は同じとは限りません。葬祭費は遺産の分け方から申請者を決めるのではなく、葬祭を執り行った事実を示す書類で確認されます。喪主名のある領収書、会葬礼状、火葬・埋葬に関する証明など、申請先が認める書類を用意します。

2026年7月31日に確認した大阪市の国民健康保険の案内では、葬祭を行った人に5万円を支給するとしています。申請先は、故人が大阪市国保に加入していた区の区役所保険年金業務担当です。

同日に確認した大阪市の後期高齢者医療の案内も、葬祭を行った人への支給額を5万円と掲載しています。これは大阪市で確認した掲載目安であり、全国一律の金額として扱いません。自治体独自の加算がある場合や、国民健康保険組合で給付内容が異なる場合もあるためです。

必要書類の例は、次のとおりです。ただし、マイナンバーの記載、印鑑、委任状、戸籍、原本提示の要否は申請先によって変わります。

  • 葬祭費支給申請書
  • 故人の資格情報が分かるもの
  • 申請者の本人確認書類
  • 葬祭を行った人が分かる領収書、会葬礼状、火葬・埋葬の証明など
  • 申請者名義の振込口座が分かるもの
  • 代理提出や別名義口座を使う場合の委任状など

火葬だけを行った場合や、会葬礼状を作っていない場合でも、直ちに対象外と決めつけません。火葬料金の領収書や火葬・埋葬の証明で確認できる自治体があります。どの書類で「葬祭を行った人」を示せるかを窓口へ尋ねます。

会社の健康保険は埋葬料と埋葬費を分ける

協会けんぽや健康保険組合などでは、亡くなった人と申請する人の関係により給付名が変わります。「埋葬料」と「埋葬費」は読み方が似ていますが、対象者と金額の決まり方が同じではありません。

健康保険法第100条は、被保険者が亡くなった場合の埋葬料と埋葬費を定めています。健康保険法施行令第35条が定める埋葬料の額は5万円です。

2026年7月31日に確認した協会けんぽの案内では、次のように整理されています。金額は同日時点の協会けんぽの掲載額です。健康保険組合に加入していた場合は、組合独自の付加給付があるかも含めて、その組合へ確認します。

亡くなった人・申請する人 給付名 掲載されている金額
被保険者が死亡し、その人により生計を維持され、埋葬を行う人が申請 埋葬料 5万円
被保険者が死亡し、埋葬料を申請できる人がおらず、実際に埋葬を行った人が申請 埋葬費 実際に埋葬に要した費用。上限5万円
被扶養者が死亡し、被保険者が申請 家族埋葬料 5万円

埋葬料の「生計を維持されていた人」は、被扶養者や同居親族だけに限られません。協会けんぽは、生活費の一部でも被保険者により維持されていればよく、民法上の親族、同一世帯、被保険者が世帯主であることは問わないと案内しています。

別居していた子が申請する場合などは、生計維持関係を確認する資料が必要になることがあります。協会けんぽの申請案内では、同じ住民票に記載されていることが分かる住民票、別居なら定期的な仕送りや公共料金の支払いが分かる資料などを挙げています。

埋葬費は、葬儀費用の全額を5万円まで単純に払い戻すという説明ではありません。協会けんぽは、実際に埋葬に要した費用の例として、霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶への謝礼などを挙げています。申請では、支払者の氏名と金額がある領収書、費用の内訳が分かる明細書を求めています。

領収書を見て「誰が、何に、いくら支払ったか」を分けることが、埋葬料と埋葬費の申請者を判断する入口です。申請者が分からない場合は、家族内で先に決めるのではなく、故人との生計関係と領収書の名義を保険者へ伝えて確認します。

提出先は、故人が加入していた保険者です。協会けんぽなら加入支部へ紙で郵送する方法のほか、2026年7月31日時点では電子申請も案内されています。健康保険組合、共済組合、私学共済なら、それぞれの窓口や勤務先の担当部署へ様式と提出経路を確認します。

掲載金額は保険者ごとの案内で確認する

葬祭費・埋葬料について「いくら戻るか」を確認するときは、制度名と保険者名をセットにします。インターネット上の金額だけで家計へ入る額を決めると、自治体差や付加給付を見落とすことがあります。

2026年7月31日時点で確認できた公的案内の掲載例を並べると、次のようになります。いずれも葬儀費用の全国相場ではなく、各保険者が案内する給付額です

制度・保険者の例 掲載目安 変わる条件
大阪市国民健康保険の葬祭費 5万円 市区町村・国保組合の条例や規約、他制度からの給付
大阪府後期高齢者医療の葬祭費を受け付ける大阪市の案内 5万円 広域連合の条例、自治体独自の加算の有無
協会けんぽの埋葬料・家族埋葬料 5万円 加入する健康保険組合等、付加給付の有無
協会けんぽの埋葬費 実費の範囲で上限5万円 埋葬料を受ける人の有無、認められる費用、実際の支払額

給付額は、葬儀社へ支払う前に値引きされる金額ではなく、葬祭後に申請して支給される仕組みが中心です。葬儀契約時の支払期限と、給付の審査・振込時期は分けて考えます。

また、故人が退職後に国保へ移って間もなく亡くなった場合は注意が必要です。健康保険法第105条と協会けんぽの案内では、被保険者だった人が資格喪失後3か月以内に亡くなった場合などに、以前の健康保険から埋葬料または埋葬費を受けられる場合があります。

大阪市国保の案内は、他の健康保険から埋葬料等を受けられる場合、大阪市国保の葬祭費を支給しないとしています。退職日、健康保険の資格喪失日、国保の資格取得日、死亡日を並べ、以前と死亡時の両方の保険者へ確認します

同じ死亡について複数の公的医療保険から重ねて受けられると見込まず、どの制度へ申請するかを先に確かめます。以前の保険者へ申請しない場合でも、国保側が不支給証明などを求めるかは窓口へ確認します。

仕事中や通勤中の災害が死亡原因と考えられる場合は、健康保険だけで判断しません。福井労働局の案内では、業務災害または通勤災害により亡くなった人の葬祭を行うとき、労災保険の葬祭料・葬祭給付を案内しています。勤務先と事業場を管轄する労働基準監督署へ状況を伝えます。

申請書類は申請者名と領収書名義をそろえる

申請書を取り寄せる前に、故人と申請者の情報、葬祭日の証拠、支払記録を一つの封筒にまとめます。保険者から追加資料を求められたときに、どの条件の確認なのかを把握しやすくなります。

確認する項目 書類の例 メモに残すこと
故人の加入先 資格確認書、資格情報のお知らせ、保険料通知、給与明細 保険者名、記号・番号、資格喪失日
死亡の事実 死亡診断書等の写し、戸籍、住民票、火葬許可証等 死亡日、書類の原本提出・返却
葬祭を行った人 葬儀領収書、会葬礼状、火葬・埋葬の証明 喪主名、葬祭日、申請者との一致
費用を支払った人 領収書、請求書、費用明細、振込記録 支払者名、支払日、費用の内訳
生計維持関係 住民票、送金記録、公共料金の領収書など 同居・別居、生活費の負担状況
振込先 通帳、キャッシュカード、口座情報 申請者名義か、委任状が必要か

国保・後期高齢者の葬祭費では、申請者が葬祭を行った人であることが確認点になります。健康保険の埋葬料では生計維持関係、埋葬費では実際に費用を支払った事実と内訳が確認点になります。

たとえば、長男が喪主で、葬儀社への振込は次女、領収書の宛名は「ご遺族」となっている場合、誰が申請するかを家族関係だけでは決めにくくなります。領収書の再発行や宛名変更が可能か葬儀社へ尋ね、現在の書類で足りるかを保険者へ確認します。

申請者本人が窓口へ行けない場合は、代理提出と代理受領を分けて確認します。代理人が書類を持参できても、給付金を代理人名義の口座へ振り込むには委任状が必要になる場合があります。郵送申請では、本人確認書類の写し、返送先、原本を同封しない書類を確認します。

会社の健康保険では、事業主による死亡証明を申請書へ受ける方法があります。事業主の証明を受けられない場合、協会けんぽは埋葬許可証・火葬許可証、死亡診断書、戸籍、住民票などのうち一つを案内しています。勤務先の資格喪失手続きが終わるのを待つだけにせず、申請書の準備と時効確認を並行します

提出後は、申請日、受付先、送付方法、追跡番号、担当窓口、追加書類、振込予定を記録します。原本を出す場合はコピーを取り、返却の有無も確認します。

2年の時効は給付ごとに起算日を確認する

「亡くなってから2年」とだけ覚えると、給付によって異なる起算日を取り違えるおそれがあります。法律上はいずれも2年の時効がありますが、実務案内に示される開始点を制度ごとに確認します。

国民健康保険法第110条は、保険給付を受ける権利が2年で時効により消滅すると定めています。高齢者の医療の確保に関する法律第160条も、後期高齢者医療給付を受ける権利について、行使できる時から2年と定めています。

大阪市の国保・後期高齢者医療の案内では、葬祭を行った日の翌日から2年以内または2年間としています。自治体の申請書に「葬祭日」を記入する欄がある場合、その日付を領収書や火葬の書類と照合します。

健康保険法第193条は、保険給付を受ける権利について、行使できる時から2年で時効により消滅すると定めています。協会けんぽの申請案内が示す起算日は次のとおりです。

給付名 2年の時効の起算日として案内される日
埋葬料 死亡年月日の翌日
家族埋葬料 死亡年月日の翌日
埋葬費 埋葬年月日の翌日
国保の葬祭費 葬祭を行った日の翌日という大阪市の案内例
後期高齢者の葬祭費 葬祭を行った日の翌日という大阪市の案内例

2年後の同じ日を自己判断で最終日とせず、申請先へ具体的な日付を伝えて期限を確認します。郵送の場合は必着か消印有効か、オンライン申請では送信完了時刻をどう扱うかも尋ねます。

期限が近いのに領収書の再発行、戸籍の取得、事業主証明に時間がかかる場合は、書類が全部そろうまで待ちません。申請先へ連絡し、先に申請書を受け付けられるか、後から補正できるかを確認します。

相続、年金、税、公共料金などには別の期限があります。葬祭費・埋葬料とほかの死後手続きの期限を同じ予定表へ置くと、起算日の違いを整理しやすくなります。実家や財産を含む手続きの全体順は、実家の相続手続きの流れも参照してください。

行き詰まったときの相談先と最終確認

加入保険が分からない、領収書の名義が合わない、退職後すぐに亡くなったなどの場合は、複数の窓口へ同じ情報を伝えます。電話では、給付名だけでなく、死亡日、葬祭日、資格喪失日、申請者と故人の関係を読み上げられるようにします。

相談先 相談する内容 先に伝えること
市区町村の国保窓口 国保の葬祭費、申請者、金額、必要書類、期限 故人の住所、死亡日、葬祭日、喪主・支払者
市区町村の後期高齢者医療窓口・広域連合 後期高齢者の葬祭費、加算、郵送・代理申請 被保険者番号、葬祭を行った人、領収書名義
協会けんぽ支部・健康保険組合 埋葬料、埋葬費、家族埋葬料、生計維持関係 被保険者・被扶養者の別、保険者名、死亡日
故人の勤務先 保険者名、資格喪失届、事業主証明、社内の弔慰金 在職・退職日、資格確認書、担当部署
以前の健康保険者 資格喪失後の埋葬料等、現在の保険との重複 資格喪失日、国保加入日、死亡日、継続給付
労働基準監督署 業務・通勤災害による死亡の葬祭料・葬祭給付 勤務先、事業場、事故・発病の経緯、死亡原因

最後に、故人の保険者名、被保険者か被扶養者か、死亡日、葬祭日・埋葬日、退職日・資格喪失日、葬祭を行った人、費用を支払った人、領収書名義、振込口座、提出日を一枚にまとめます。

申請前に「この給付名でよいか」「申請者は誰か」「支給額はいくらか」「起算日と期限はいつか」の4点を申請先へ確認します。制度名と受付窓口が決まれば、葬儀後のほかの手続きと混ざらずに進めやすくなります。

よくある疑問

よくある質問

葬祭費と埋葬料は両方申請できますか?

同じ死亡について、加入先の異なる給付を重ねて受けられるとは限りません。国民健康保険の自治体案内でも、以前の会社の健康保険などから埋葬料等を受けられる場合は葬祭費を支給しないとする例があります。死亡時と退職前の保険者へ加入履歴を伝え、どちらへ申請するかを確認してください。

家族なら誰でも葬祭費や埋葬料を申請できますか?

家族であることだけでは決まりません。国保・後期高齢者の葬祭費は葬祭を行った人、健康保険の埋葬料は被保険者により生計を維持されていた人で埋葬を行う人が基本です。領収書や会葬礼状の名義も含め、保険者へ確認してください。

火葬だけでも葬祭費を申請できますか?

火葬を葬祭として扱う自治体の案内はありますが、確認書類と運用は保険者ごとに異なります。火葬許可証、火葬料金の領収書、申請者名が分かる書類を用意し、故人の国保または後期高齢者医療の窓口へ確認してください。

葬儀の領収書をなくしたら申請できませんか?

領収書以外に会葬礼状、火葬・埋葬の証明、請求書などを認める自治体があります。健康保険の埋葬費では支払者名と費用額のある領収書、内訳明細を求める案内です。再発行の可否を葬儀社へ尋ね、代替書類を申請先へ確認してください。

2年を過ぎた後でも申請できますか?

各制度の給付を受ける権利には法令上の2年の時効があります。起算日は、国保・後期高齢者の案内では葬祭日の翌日、健康保険では埋葬料と家族埋葬料は死亡日の翌日、埋葬費は埋葬日の翌日です。期限が近い場合は、書類がすべてそろう前でも申請先へ直ちに相談してください。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. e-Gov法令検索「健康保険法」(2026年7月31日確認)
  2. e-Gov法令検索「健康保険法施行令」(2026年7月31日確認)
  3. e-Gov法令検索「国民健康保険法」(2026年7月31日確認)
  4. e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律」(2026年7月31日確認)
  5. 全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」(2026年7月31日確認)
  6. 全国健康保険協会「健康保険埋葬料(費)支給申請書」(2026年7月31日確認)
  7. 大阪市「葬祭費の支給」(2026年7月31日確認)
  8. 大阪市「後期高齢者医療の被保険者が亡くなられたときは、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。」(2026年7月31日確認)
  9. 福井労働局「葬祭料(葬祭給付)」(2026年7月31日確認)