実家・空き家・片付け

空き家の固定資産税はどうなる?住宅用地特例と「6倍」の意味

空き家になった実家を残すと、税金が急に何倍にもなるのではと不安になりますよね。空き家になっただけで一律に税額が上がるわけではなく、土地の住宅用地特例、家屋分、1月1日時点の状態、管理不全空家等・特定空家等への勧告、負担調整を分けて確認します。

目次
  1. 結論 空き家の税金は土地と家屋を分けて確認する
  2. 課税明細で土地の特例と家屋分を切り分ける
  3. 住宅用地特例は200平方メートルを境に分けて考える
  4. 6倍は税額ではなく課税標準の比較から出る
  5. 勧告の通知が来たら期限と必要な措置を確認する
  6. 1月1日の前に解体・修繕・建替えの予定を分ける
  7. 翌年度の試算は同じ条件表で自治体へ依頼する
  8. 行き詰まったときの相談先と最終確認

状況を整理する

この記事でわかること

  • 空き家の土地と家屋にかかる固定資産税の分け方
  • 小規模住宅用地と一般住宅用地の特例率
  • 「固定資産税が6倍」の正確な意味
  • 勧告と1月1日を軸にした確認時期

結論 空き家の税金は土地と家屋を分けて確認する

空き家の固定資産税を考えるときは、「実家全体でいくら」から始めると仕組みを見失います。土地には住宅用地特例があり、家屋には家屋の評価に基づく課税があります。まず二つを分けます。

空き家になった日だけで判断せず、毎年1月1日の土地・家屋の状態と行政上の勧告を確認します

  1. 納税通知書と課税明細を用意する
    土地と家屋の行を分け、所在地、地積、価格、課税標準額、税相当額、住宅用地の表示を確認します。
  2. 土地の住宅用地区分を確認する
    小規模住宅用地、一般住宅用地、一部住宅用地、非住宅用地のどれとして課税されているかを見ます。
  3. 1月1日時点の状態を記録する
    住宅の有無、解体日、建替えの予定、空き家の利用状況を、写真や契約書、工事日程とともに残します。
  4. 自治体からの通知を時系列に並べる
    情報提供、助言、指導、勧告のどの段階かを、文書名、根拠条文、期限、担当部署で分けます。
  5. 翌年度の試算条件を税務担当へ伝える
    現状のまま保有、年内に修繕、年内に解体など、検討中の状態を分けて課税の見込みを聞きます。
  6. 税以外の判断は関連資料へ分ける
    売却、賃貸、解体、保有の比較や解体費用は、見積もりと利用予定を含めて別に検討します。

空き家になった直後の名義、安全、管理担当の決め方は実家が空き家になったときの判断順で整理しています。本記事では、その後も持ち続ける場合に気になる固定資産税へ範囲を絞ります。

課税明細で土地の特例と家屋分を切り分ける

固定資産税は、土地、家屋、償却資産に対して市町村が課税する税です。東京都23区では都が課税します。空き家の実家では、土地と家屋が同じ納税通知書に載っていても、計算の入口は別です。

確認する欄 読み取る内容 メモに残すこと
土地の所在地・地積 どの土地に何平方メートル課税されているか 筆ごとの地番、地積、家屋との位置関係
土地の価格 自治体が登録した土地の評価 売却査定額とは別の数字であること
土地の課税標準額 特例や負担調整を反映して税率を掛ける基礎 固定資産税と都市計画税を分ける
住宅用地の表示 小規模、一般、一部、非住宅などの認定 表示が不明なら税務担当へ確認
家屋の価格・課税標準額 建物に対する課税の基礎 母屋、物置、車庫などの内訳
税相当額 土地分・家屋分の税負担 前年度との差と変更理由

家屋が古くても、評価が残っていれば家屋分の固定資産税が課税されます。一方、建物を取り壊すと家屋分は翌年度以降なくなる方向ですが、土地の住宅用地特例が外れる場合があります。片方だけを見て「解体すれば安くなる」「残せば安い」とは判断できません。

課税明細に「小規模住宅用地」などの記載が見当たらない場合は、土地の地番と家屋番号を伝えて自治体へ確認します。一つの敷地に複数戸がある、店舗との併用住宅である、土地が複数筆に分かれる場合は、面積区分が単純ではないことがあります。

固定資産税の「価格」は、売れる金額を示す査定額ではありません。市場での売却判断にそのまま使わず、課税の基礎として読みます。売る・貸す・解体・保有を比べる場合は、4つの選択肢を同じ軸で比べる方法へ分けて確認できます。

住宅用地特例は200平方メートルを境に分けて考える

地方税法第349条の3の2は、住宅の敷地として使われている土地について、固定資産税の課税標準を軽減する特例を定めています。住宅1戸につき200平方メートルまでの部分と、それを超える部分では割合が違います。

土地の区分 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸につき200平方メートル以下の部分) 価格の6分の1 価格の3分の1
一般住宅用地(200平方メートルを超える部分) 価格の3分の1 価格の3分の2

都市計画税は、市街化区域内の土地・家屋などが対象になる目的税です。地域や土地の場所によって課税の有無が変わるため、固定資産税と混ぜずに課税明細を見ます。

たとえば300平方メートルの敷地に住宅が1戸ある場合、すべてが6分の1になるという意味ではありません。住宅用地として認められる範囲のうち、原則として200平方メートルまでが小規模住宅用地、残りが一般住宅用地です。共同住宅や併用住宅、敷地が家屋の床面積の10倍を超える場合などは、戸数や居住部分の割合も関係します。

総務省の固定資産税の概要も、小規模住宅用地は評価額の6分の1、一般住宅用地は3分の1を本来の課税標準の上限とする仕組みを示しています。

ここで軽減されるのは土地の課税標準です。家屋の固定資産税を6分の1にする制度ではありません。実家全体の納付額を把握するには、土地の固定資産税、土地の都市計画税、家屋の固定資産税、家屋の都市計画税を課税明細で分けます。

6倍は税額ではなく課税標準の比較から出る

「空き家を解体すると固定資産税が6倍」と言われるのは、小規模住宅用地の固定資産税の課税標準が価格の6分の1になることが主な理由です。特例がある状態の「価格×6分の1」と、特例がない状態の価格を単純比較すると、6という数字が出ます。

しかし、この比較には次の違いが含まれていません。

6倍と断定できない理由 実際に確認すること 確認資料
6分の1は税額ではなく課税標準の特例率 課税標準額と適用税率 土地の課税明細
200平方メートルを超える部分は3分の1 小規模・一般住宅用地の面積 地積、戸数、住宅用地区分
非住宅用地にも負担調整がある 前年度課税標準額と負担水準 前年・当年の課税明細
都市計画税の特例率は固定資産税と違う 都市計画税の有無と課税標準 納税通知書
解体すると家屋分がなくなる方向になる 家屋分として納めていた額 家屋の課税明細
自治体独自の減免等がある場合がある 条例による要件と申請 所在地自治体の公式案内

土地の税額だけを比べるのか、土地と家屋を合わせた納付額を比べるのかでも結果は変わります。解体前には家屋分があり、解体後には土地の特例が外れる可能性があります。比較する範囲をそろえないと、増減を読み違えます。

負担調整は、土地の評価に対する課税標準の割合を調整し、年度間の税負担をならす仕組みです。特例が外れた後の課税標準が、単純に前年の6倍になるとは限りません。評価替え、地価の変動、土地の利用区分も関係します。

「6倍」は小規模住宅用地の特例率を説明する数字で、個別の納税額を予告する倍率ではありません

金額の掲載目安を一律に示すこともできません。土地の評価、面積、家屋の評価、都市計画税の有無が物件ごとに違うためです。現在の課税明細を示し、「現状のまま次の1月1日を迎える場合」「年内に解体する場合」を固定資産税担当へ分けて伝えます。

解体費、補助制度、滅失登記まで含めて検討する場合は、内容を重ねず実家の解体費用と税・登記の確認時期で確認できます。

勧告の通知が来たら期限と必要な措置を確認する

空き家になっただけで、住宅用地特例が直ちに外れるという説明ではありません。ただし、住宅としての実態がなく、今後人が住む見込みもない状態では、空家法上の指定や勧告とは別に、そもそも住宅用地と認められない場合があります。現況判断は自治体へ確認します。

空家法では、管理状態に応じた行政の対応を段階に分けています。国土交通省のガイドラインは、管理不全空家等と特定空家等の措置、住宅用地特例から除外される節目を説明しています。

管理不全空家等は指導の後に勧告がある

管理不全空家等は、適切な管理が行われず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある状態の空き家です。空家法第13条では、市町村長が管理指針に沿った必要な措置を指導できます。

指導しても状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれが大きいと認めるときは、修繕、立木竹の伐採などの具体的な措置を勧告できます。つまり、管理不全空家等と判断された時点と、勧告を受けた時点は同じではありません。

特定空家等も助言・指導から勧告へ進む

特定空家等は、放置すれば倒壊などで著しく保安上危険となるおそれがある、著しく衛生上有害となるおそれがある、著しく景観を損なっているなどの状態と認められる空き家です。

空家法第22条では、市町村長がまず必要な措置を助言または指導できます。それでも状態が改善されないと認めるときは、猶予期限を付けて勧告できます。正当な理由なく勧告に従わず、特に必要と認められる場合は命令へ進むことがあります。

空き家の段階 行政から確認すること 税について確認すること
通常の空き家 管理上の助言、相談窓口 現在の住宅用地認定
管理不全空家等への指導 改善箇所、期限、確認方法 勧告前か、次の賦課期日への影響
管理不全空家等への勧告 根拠条文、具体的措置、猶予期限 住宅用地特例から除外される年度
特定空家等への助言・指導 危険や悪影響、求められる措置 勧告の有無
特定空家等への勧告 措置内容、期限、命令へ進む条件 住宅用地特例から除外される年度

地方税法第349条の3の2は、空家法第13条第2項による勧告を受けた管理不全空家等と、第22条第2項による勧告を受けた特定空家等の敷地を住宅用地特例の対象から除いています。法定の節目は「認定」や「指導」ではなく「勧告」です。

長野市の案内でも、管理不全空家等について、判断、指導、改善されない場合の勧告という流れを示し、勧告を受けると住宅用地特例から除外されると説明しています。これは制度運用の一例です。文書名や現地確認の手順は実家所在地の自治体へ確認します。

通知が来たら、電話だけで終えず、次を一枚へ記録します。

  • 文書の名称、発送日、受領日、根拠条文
  • 管理不全空家等か特定空家等か
  • 指導、勧告、命令のどの段階か
  • 求められている修繕、伐採、除却などの具体的内容
  • 措置の期限と、完了を確認する方法
  • 空き家担当と固定資産税担当の部署・担当者
  • 次の1月1日までに必要な対応と課税年度

修繕や伐採を行う場合は、着手前と完了後の写真、見積書、請求書を残します。工事が終わっただけで勧告の扱いが自動的に変わるとは考えず、自治体に完了を報告し、確認結果を書面で受け取れるか聞きます。

1月1日の前に解体・修繕・建替えの予定を分ける

地方税法第359条は、固定資産税の賦課期日を毎年1月1日と定めています。年の途中で空き家になった、修繕した、解体したという出来事は、次の1月1日の状態と結び付けて確認します。

たとえば、年内に住宅を取り壊し、翌年1月1日時点で空地や駐車場になっていれば、原則として翌年度は住宅用地特例の対象になりません。横浜市のFAQも、住宅を取り壊して駐車場にした場合、翌年度から土地の特例が受けられないと案内しています。

一方、年の途中で解体しても、その年度の固定資産税を解体日から月割りで減らす仕組みではありません。固定資産税は1月1日の状態を基準に年度分が課税されます。不動産売買で引渡日を境に税相当額を精算することがありますが、それは当事者間の契約上の精算であり、市町村の納税義務者が月ごとに変わるという意味ではありません。

検討中の状態 1月1日前に確認すること 主な確認先
空き家のまま保有 住宅用地認定、管理状態、勧告の有無 固定資産税担当、空き家担当
修繕して保有 指導・勧告で求められた措置を満たすか 空き家担当、建築担当
年内に解体 翌年度の土地課税、家屋分、届出 固定資産税担当、家屋担当
建替え 建替え中の住宅用地として扱う要件 固定資産税担当、建築担当
売却予定 1月1日時点の所有者、契約上の税相当額精算 固定資産税担当、仲介会社

建替え中の土地は、前年度も住宅用地であったこと、同じ土地で建替えを行うこと、所有者の関係など一定の要件を満たせば、住宅用地として扱われる場合があります。単に「解体後にいつか建てる予定」というだけで適用されるとは限りません。解体日、着工予定日、完成予定日、建築確認の資料を示して事前に確認します。

年末が近い時期は、工事の完了日だけを調整して税を決めようとせず、売却条件、危険への対応、補助金の申請、建替え工程も合わせて検討します。危険な建物を税のためだけに残す判断は避け、必要なら応急措置と税の試算を同時に進めます。

翌年度の試算は同じ条件表で自治体へ依頼する

固定資産税担当へ相談するときは、「空き家の税金はいくらですか」と聞くだけでは、前提が伝わりません。現在の課税明細と、次の1月1日に想定する状態をそろえます。

伝える項目 確認する内容 用意する資料
対象不動産 土地の地番、家屋番号、所有者 納税通知書、課税明細
土地の状況 地積、住宅用地区分、利用状況 課税明細、配置図、写真
家屋の状況 空き家になった時期、損傷、利用見込み 写真、点検記録
行政の措置 指導・勧告の有無、根拠条文、期限 自治体から届いた文書
工事予定 修繕、解体、建替えの日程 見積書、工程表、建築資料
聞きたい年度 現年度か翌年度か 相談日と回答日を記録

試算を依頼する場合は、少なくとも「現状のまま保有」「年内に解体」「指導内容を年内に改善」のように条件を分けます。自治体が個別の税額を確定前に示せない場合は、どの課税標準区分になる見込みか、追加で必要な資料は何かを聞きます。

相続直後で納税通知書の宛名と登記名義が違う場合は、土地・家屋の所有者と納税管理の状況も伝えます。固定資産税の納付書が届いている人だけで、売却や解体を決められるとは限りません。権利関係の確認は税の試算と分けます。

回答は、相談日、部署名、担当者、伝えた条件、回答内容に分けて残します。口頭回答は前提が抜けやすいため、自治体公式ページや案内文の該当箇所も保存します。翌年度の納税通知書が届いたら、試算時の条件と実際の住宅用地区分を照合します。

行き詰まったときの相談先と最終確認

空き家の固定資産税は、税務部門だけでなく、空き家対策、建築、登記が関係します。通知の内容と検討中の対応に合わせて窓口を分けます。

相談先 相談する内容 先に用意するもの
実家所在地の固定資産税担当 住宅用地区分、1月1日の認定、翌年度の試算 納税通知書、課税明細、土地・家屋の情報
自治体の空き家担当 管理不全空家等・特定空家等、指導・勧告、改善確認 通知書、現況写真、修繕計画
自治体の建築担当 危険箇所、建替え、解体や建築の手続き 図面、写真、工程表
法務局・土地家屋調査士 登記名義、解体後の建物滅失登記 登記事項証明書、解体証明資料
税理士 他の税を含む保有・売却・相続の個別判断 相続資料、取得資料、課税明細、査定

最後に、①土地と家屋の課税額、②小規模・一般住宅用地の面積、③都市計画税の有無、④次の1月1日の状態、⑤指導・勧告の段階、⑥改善や解体の期限、⑦翌年度の試算条件を確認します。「6倍」という言葉から結論を出さず、現在の課税明細と次の賦課期日の状態を並べれば、保有を続ける税負担と、修繕・解体へ進む時期を家族で検討しやすくなります。

よくある疑問

よくある質問

実家が空き家になったら、翌年から固定資産税は上がりますか?

人が住まなくなった事実だけで、土地の固定資産税が直ちに一律で上がるとは限りません。1月1日時点で住宅の敷地として認定されるか、家屋の状態、管理不全空家等・特定空家等への勧告の有無などを自治体が確認します。課税明細と空き家の現況を示し、所在地の固定資産税担当へ確認します。

空き家を解体すると土地の固定資産税は6倍になりますか?

小規模住宅用地では固定資産税の課税標準を価格の6分の1とするため、特例前後の課税標準の上限だけを比べると6という数字が出ます。ただし、実際の税額は評価、面積、負担調整、都市計画税、家屋分の減少などで決まるため、一律に6倍とはいえません。

管理不全空家等と判断されたら、すぐ住宅用地特例が外れますか?

管理不全空家等と判断されただけで直ちに外れるという仕組みではありません。空家法第13条では、まず指導があり、改善されず特定空家等になるおそれが大きいと認められる場合に勧告へ進みます。住宅用地特例から除外される法定の節目は勧告です。

12月に空き家を解体すると、その年の固定資産税も変わりますか?

固定資産税の賦課期日は毎年1月1日です。年の途中で解体しても、その年度の固定資産税が月割りで再計算される仕組みではありません。翌年1月1日時点で住宅がなければ、原則として翌年度は土地の住宅用地特例が外れます。建替え中などの扱いは自治体へ確認します。

勧告を受けた後に修繕すれば、住宅用地特例へ戻りますか?

修繕しただけで自動的に戻ると判断せず、勧告で求められた措置が完了したことを空き家担当へ報告し、勧告の扱いと次の1月1日時点の課税を固定資産税担当へ確認します。必要な工事、確認方法、適用年度は個別の状態と自治体の判断で変わります。

関連情報・信頼性

出典・参考資料

  1. e-Gov法令検索「地方税法」(2026年7月31日確認)
  2. e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」(2026年7月31日確認)
  3. 総務省「固定資産税の概要」(2026年7月31日確認)
  4. 国土交通省「空家法とは」(2026年7月31日確認)
  5. 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(2026年7月31日確認)
  6. 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針」(2026年7月31日確認)
  7. 横浜市「住宅を取り壊して駐車場にした場合の固定資産税は」(2026年7月31日確認)
  8. 長野市「特定空家等及び管理不全空家等の判断基準及び手続き」(2026年7月31日確認)